美術の時間。薄だいだいの色鉛筆を手に取る。丸を描いて、黒に持ち替える。そのまま髪の毛をカリカリと色鉛筆で塗っていく。
僕しかいないほとんど白の画用紙をみて、『家族』の絵を描いて、と先生はいった。家族、ってなんだろうか。苗字が一緒なら家族だろうか、一緒に住んでたら家族なんだろうか。会ったことがなく死んだ僕のお父さんは家族なんだろうか、それとも違ってしまうのか。胸がじんわりと痛んで、目の奥を熱いものが駆け抜ける。ぽたりと一滴画用紙の上に落ちた。
先生はもう一度同じことを僕にいってきたので、桃色の服を着たお母さんを加えた。ここでおじさんを描かなかったら、おじさんは悲しむだろうか。それとも僕がこの画用紙におじさんを描いてしまったら、お父さんが空の上で泣くのだろうか。
チャイムが鳴る。
描いた絵は不完全で、僕の気持ちもまだ不完全だった。
誕生日、クリスマス、父の日。たくさんある『家族イベント』で毎回考えるんだ。世の中は、いつも平等を唱える不平等に満ちているんだと。そんなことを隣の席の女の子にぽろりとこぼしたら、「ばかね、海外なんてもっとひどいのよ」と、さもありなんな模範解答をもらった。
僕しかいないほとんど白の画用紙をみて、『家族』の絵を描いて、と先生はいった。家族、ってなんだろうか。苗字が一緒なら家族だろうか、一緒に住んでたら家族なんだろうか。会ったことがなく死んだ僕のお父さんは家族なんだろうか、それとも違ってしまうのか。胸がじんわりと痛んで、目の奥を熱いものが駆け抜ける。ぽたりと一滴画用紙の上に落ちた。
先生はもう一度同じことを僕にいってきたので、桃色の服を着たお母さんを加えた。ここでおじさんを描かなかったら、おじさんは悲しむだろうか。それとも僕がこの画用紙におじさんを描いてしまったら、お父さんが空の上で泣くのだろうか。
チャイムが鳴る。
描いた絵は不完全で、僕の気持ちもまだ不完全だった。
誕生日、クリスマス、父の日。たくさんある『家族イベント』で毎回考えるんだ。世の中は、いつも平等を唱える不平等に満ちているんだと。そんなことを隣の席の女の子にぽろりとこぼしたら、「ばかね、海外なんてもっとひどいのよ」と、さもありなんな模範解答をもらった。



