五色に溶けた空の色




 五人それぞれの世界が紡ぐ物語を拾ってくれてありがとう。これが最後の物語だ。

 最後の三月は、凛音が話してということになったので、お願いされた通り、ここからは私視点で話を進めようと思う。もちろん、最後を紡ぐのは誰でもよかったのかもしれない。でも、自然と私が書かなければいけないんだと受け入れることができた。

 それがそれぞれ誰の世界から見たものなのか、わかったかな? そして、誰と誰の糸が結ばれ、誰の糸がほどけてしまうのか。あるいは、誰も結ばれないのかも。

 段々と暖かさが訪れてくる三月になった頃、五人——花梨(かりん)一葉(ひとは)凛音(りおん)秀雪(ひでゆき)、そして海虎(かいと)——の下駄箱に、こんな紙が置かれていた。

『ホワイトデーの日、このグループの好きな人に、それぞれがチョコレートレートを送りませんか?』

 きっと誰かが、このままじゃいけないと思ったんだろう。私たちがずっと誰かを思えるように、ちゃんと決めてから次のステップに行こうとでも思ったのだろう。

 誰が下駄箱に置いたのかはわからない。もちろん、私の可能性だってある。ただ、誰が置いたのかというのを探そうとする人は誰もいなかった。

 五人はどこか息苦しさを感じながらも、ホワイトデーの日に運命を決めることで一致した。

 やり方はこう、皆がいなくなった後の空っぽの教室で一人ずつ中に入っていき、好きな人の机の中に名前を書いたチョコを入れる。もちろん、この中にあるいはそもそも好きな人がいなければ入れなくてもいい。

 けれど、私はこれをやろうと全員で一致したときの皆の力強い「うん」という言葉から、全員がこの中で叶わないかもしれない見えない恋を抱いているんだということが確信できた。

 それはつまり、五人という運命で決められた私たちは、少なくとも誰かが結ばれないこととなる。

 ただ、同時に結ばれないことが不幸ではないこともわかってしまった。

 ホワイトデーの日も、ちらつく雪が私たちの体を芯から冷やしていた。

 でも、バレンタインの時とは違い暴力性なんて秘めてなく、ずっと静かに天からの手紙だとでも言うかのように降り続けていた。

 それでは物語の始まりへ、いってらっしゃい——。




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