五色に溶けた空の色




「あけおめー!」

「今年もよろしくお願いします!」

「新年そうそう会えるなんてね」

「ああ、あけおめ」

「今年も仲良くしような」

 元旦という、一年の始まりも私たち五人で集まるなんて、私たちの仲はどうやったら途切れるのだろうかとすらと思ってしまう。本当にこの中から、誰かと誰かが結ばれて恋人という新しい関係が築かれるのだろうか。でも、言ってしまえば関係を作るのは難しくても、関係を突然と切るのは意外と簡単なものなのだ。今までの恋愛で私はそのことを何度も痛感してきたから。 

「とはいえ、寒いね、今年は沢山雪が降るかもだって。この辺りで雪が降ったら大騒ぎになりそう」

 手をこすりながら寒がる風花みたいな子に、男の子たちはなにか羽織らせてあげればポイント高いのになと思いつつ、女心をまだまだ分かっていない二人をよそに私がその子に持っていたマシュマロみたいにふわふわのマフラーを巻いてあげた。

「▼▼ちゃん、ありがとう」

「どういたしまして。五人で雪化粧も見てみたいものだよね」

「でも、大雪は困るな。ほどほどがいいよ」

 この笑顔のために彩られた方がこのマフラーも喜んでくれるなんて子供みたいなことを思いながら、太陽に照らされた大きな鳥居をくぐって奥へと入っていった。

 流石、元旦。流石、大きな神社。それだけでこの人数の人たちが神様に願いたくなる気持ちは私にだってわかる。神様を信じているかとか、神様に願ったところで結局は自分が行動しないといけないだとか、そういうことはあまり関係ないのだ。ただ、どうか見守っていてほしい。そういうようなものなんだろう。私だって神様を信じているかと言われればすぐに「うん」と言える人ではない。でも、いないかと言われてもそれは同じだ。

 私たちの順番がようやく来ると、横一列に並んだ私たちはお金をゆっくりと神様のいる方に授る。そこからはもう自分の世界だ。周りのがやがやとした賑やかさすらも遮断されてしまう。私と神様だけの秘密の小部屋なのだから。 

 ——どうか、私たち五人をずっと見守っていてください。

 私がしたのは決して大きな願いではないけれど、崩れてしまったら困るものを支えてほしいという純粋な気持ちだった。雪よりも透明な糸がこの先に繋がってるのかと思うと、やはり神様の世界は不思議だ。

「ねえ、何を願ったの?」
 
 皆が願い終わると、たくさんの人の中を抜けて鳥居の方へ戻っていく。私は特に意味はないけれど、風花みたいな子と手をつないでいた。とはいえ、百合展開にはなりそうにない。ただ、寒さという痛みを分かち合っているだけに過ぎない。

「それは、内緒」

 海虎くんは私の願いを盗もうとしていたみたいだが、私はお口チャックをする。二人の女の子もそれに続きお口チャックをした。

「じゃあ、代わりに海虎くんの教えて」

「それは内緒だな」

 私が逆質問をしたけれど、あっけなく断られてしまった。最初から海虎くんも心に秘めておきたかったんじゃないか。盗み食いだけしようとしてもダメに決まっている。でも、なんとなく私は四人が願ったこと、どこか分かってしまうような気がする。

「あ、おみくじだ! 皆で引かない?」

 そして、神社に来たらしたくなってしまうことと言ったら、やっぱりこれだろう。私は子供のようにおみくじにかじりついた。四人はやれやれと思っているだろうが、その内側に秘めた「同じく、おみくじしたかったんだ!」という気持ちはバレバレだ。

 昨年はいろいろなトラブルに見舞われた。でも、全て私たちの中で解決していった。それは主に、男の子たちによる作戦ではあったけれど、私も少しからず力になれたのだとしたらそれよりも嬉しいことはない。今年は、そういうようなトラブルに見舞われないのがいいに決まっているけれど、どこか私たちの友情が試されるような乗り越えないといけない試練は与えてほしいなとも思ってしまう。

 おみくじを順番に引いて「せーの!」で開けた。

 ——中吉、小吉、吉、中吉、小吉。

 序列なんて分からないけれど、一番上の大吉を引いた人はいなかった。ただ、この中で一番いいのは吉だったような気がする。どれが誰のなのか、それはあくまで私たちだけの秘密だ。

「去年は、末吉だったからたぶんこれはアップしたね。確かに去年はいくつか災難に見舞われたかも。でも、何とか年を越せたけどな」

「学業運がいいみたい。今年は学年で一番、目指してみたいな」

「大きな何かが降りかかります。どうやら波乱になりそうだな」

「努力が報われやすい年になるでしょうか、よかった」

 各々がおみくじの結果について白い息を大空に飛ばしながら語り始めていた。一年間、五人で過ごしてきた証だろうか。言葉だけでも、誰が誰なのか分かってしまう。

「私は、ドキドキと胸の高鳴る恋とで会えるでしょうだって。楽しみだな」

 もうすでに出会っている。神様はどうやら、遅れんぼうさんなのだろうか。それとも、まだドキドキが有頂天に足してないのか。ただ、その恋を授けてくれたことだけで、私は神様に感謝をしたい。私たちは戒めとして巻くのではなく、持ち帰って手の中に秘めることにした。