午後。
俺はキレイになった布団の上でうたた寝をする。掃除をしたからなのか、窓から入り込むオレンジ色の日差しが気持ち良い。
(……クロ)
一緒に昼寝がしたいのか、俺の腹の上で……気持ち良さそうに眠るクロ。近くでじっくりと顔を見ていると、意外とヒゲが長い。
(可愛いもんじゃねぇか……)
夜も俺の脇の下に入って眠るようになった。こうやって小さい動物が、俺を怖がらずに一緒にいてくれると……頼られる存在なのか?と思うし、守ってやらないとなと考えるようになった。
「30,000円か……やべぇよなぁー……」
クロと一緒に暮らすための、追加の敷金。ほとんど家に金がない俺にとって……30,000円は途方もない金額だった。コンビニに弁当を買いに行くのも、ちょっと我慢するようになり、米を炊いて、ふりかけで過ごすことが増えてきた。
焼き肉味のふりかけは旨い。すき焼き味も……なかなかだった。鮭味も意外といけた。
(ガチで、何とかするか……)
俺はクロを起こさないように、両腕だけを動かしてスマホを手にする。そして面倒くさくなって見るのを止めていた、求人サイトをひたすら見るようになった。……時間だけはたっぷりあるから。
『8時~17時まで』
『未経験者、歓迎!』
『月給180,000円』
(ひゅー……月に18万も、貰えんのかよ……)
(良いじゃねぇかよ……)
毎月18万ももらえるのなら……安心して敷金だって払えるし、家賃も払える。それに……そんなにあるなら、パチンコだって行きたい時に行ける。なかなか良い条件だと思う。
(でもな……)
俺はぐっすりと腹の上で眠っているクロに目をやる。
(クロがいるしなぁ……)
仮にこの仕事に就けたとしても……真美子がいない今、クロを守るのは俺しかいない。それなのに……朝8時から夕方まで、クロだけで大丈夫なのか?俺は心配だった。
(何かあったら……助けにきてやれねぇしな……)
人間みたいに、何かあればスマホで電話してくるわけじゃない……ペットを飼ったことがない俺にとって、一番不安なことだった。
(せめて真美子がいてくれれば……)
(……長時間の仕事は、今は難しいか)
真美子がいてくれれば、お互いに協力して時間を作ることができるような気がしていた。もちろん……真美子が猫嫌いじゃなければ、の話だけれど。
『未経験者、歓迎!』
『1日4時間~OK!』
『回数、応相談』
『時給1,200円』
(……!)
(そうか……時給の仕事なら……)
曜日も時間も好きに決められる仕事なら……まださっきの仕事よりも、融通が利く。もちろん貰える金は、月給よりも少なくなるけれど……クロはまだ小さい。大きくなったら、ちゃんと正社員になれば良い……
俺はこの考えでいくことにした。
「……よし! これだ!」
思わず声を出してしまう。
「……にゃっ?」
俺が大きく体を動かしてしまったせいで、気持ち良く寝ていたクロを起こしちまった……。
「あっ……わりぃ。クロ」
「起こしちまったな。ごめんごめん」
頭をよしよしして、機嫌を取ってみた。
「そうと決まれば……早速電話だ!」
「クロ! 一回起きてくれ! 俺……電話しなきゃいけねぇんだよ」
いやいや目を開けるクロ。察してくれたのか、ぴょん!と俺の腹から飛び降りて、エアコンの真下に行ってしまった。
(よし……! 電話すっか……)
クロの鳴き声が電話口に入らないように、台所に入ってドアを閉めて……小声で電話した。
俺はキレイになった布団の上でうたた寝をする。掃除をしたからなのか、窓から入り込むオレンジ色の日差しが気持ち良い。
(……クロ)
一緒に昼寝がしたいのか、俺の腹の上で……気持ち良さそうに眠るクロ。近くでじっくりと顔を見ていると、意外とヒゲが長い。
(可愛いもんじゃねぇか……)
夜も俺の脇の下に入って眠るようになった。こうやって小さい動物が、俺を怖がらずに一緒にいてくれると……頼られる存在なのか?と思うし、守ってやらないとなと考えるようになった。
「30,000円か……やべぇよなぁー……」
クロと一緒に暮らすための、追加の敷金。ほとんど家に金がない俺にとって……30,000円は途方もない金額だった。コンビニに弁当を買いに行くのも、ちょっと我慢するようになり、米を炊いて、ふりかけで過ごすことが増えてきた。
焼き肉味のふりかけは旨い。すき焼き味も……なかなかだった。鮭味も意外といけた。
(ガチで、何とかするか……)
俺はクロを起こさないように、両腕だけを動かしてスマホを手にする。そして面倒くさくなって見るのを止めていた、求人サイトをひたすら見るようになった。……時間だけはたっぷりあるから。
『8時~17時まで』
『未経験者、歓迎!』
『月給180,000円』
(ひゅー……月に18万も、貰えんのかよ……)
(良いじゃねぇかよ……)
毎月18万ももらえるのなら……安心して敷金だって払えるし、家賃も払える。それに……そんなにあるなら、パチンコだって行きたい時に行ける。なかなか良い条件だと思う。
(でもな……)
俺はぐっすりと腹の上で眠っているクロに目をやる。
(クロがいるしなぁ……)
仮にこの仕事に就けたとしても……真美子がいない今、クロを守るのは俺しかいない。それなのに……朝8時から夕方まで、クロだけで大丈夫なのか?俺は心配だった。
(何かあったら……助けにきてやれねぇしな……)
人間みたいに、何かあればスマホで電話してくるわけじゃない……ペットを飼ったことがない俺にとって、一番不安なことだった。
(せめて真美子がいてくれれば……)
(……長時間の仕事は、今は難しいか)
真美子がいてくれれば、お互いに協力して時間を作ることができるような気がしていた。もちろん……真美子が猫嫌いじゃなければ、の話だけれど。
『未経験者、歓迎!』
『1日4時間~OK!』
『回数、応相談』
『時給1,200円』
(……!)
(そうか……時給の仕事なら……)
曜日も時間も好きに決められる仕事なら……まださっきの仕事よりも、融通が利く。もちろん貰える金は、月給よりも少なくなるけれど……クロはまだ小さい。大きくなったら、ちゃんと正社員になれば良い……
俺はこの考えでいくことにした。
「……よし! これだ!」
思わず声を出してしまう。
「……にゃっ?」
俺が大きく体を動かしてしまったせいで、気持ち良く寝ていたクロを起こしちまった……。
「あっ……わりぃ。クロ」
「起こしちまったな。ごめんごめん」
頭をよしよしして、機嫌を取ってみた。
「そうと決まれば……早速電話だ!」
「クロ! 一回起きてくれ! 俺……電話しなきゃいけねぇんだよ」
いやいや目を開けるクロ。察してくれたのか、ぴょん!と俺の腹から飛び降りて、エアコンの真下に行ってしまった。
(よし……! 電話すっか……)
クロの鳴き声が電話口に入らないように、台所に入ってドアを閉めて……小声で電話した。



