確かに今日は仕事が詰まっていて、昼間はゼリーしか食べていないのでお腹が空いている。

「ピザとか食べたいかな」
「ピザか。なんとか作ってみるよ。あと、誕生日だからケーキとか食べたいよね。買っておけば良かったな」

冷蔵庫を開けて食材を物色する彼に申し訳なくなる。
「私、宅配ピザでも頼んでみるね。あっ、でもこのマンションだと来るの大変かな」

このマンションはセキュリティーを三段階通過した。そもそも、こんな時間じゃ宅配ピザはやっていないかもしれない。

「真夏ちゃんって優しいよな。普通、配達員の都合なんて考えないよ。とりあえず、お風呂であったまってきて。身体冷えたでしょ」
「⋯⋯お気遣いありがとう」

渡されたバスタオルとバスローブに動揺しつつも、濡れた着物でウロウロしても迷惑だと私は浴室に向かった。