この時の俺は自分が真夏を守っていて、彼女の目的は極道の世界を逃げることだと思っていた。逃げる事のその先の計画、真夏のリベリオンは二十年以上前から仕組まれていた。園崎は彼女が仕込んでいたカメレオンの一人。
ずっと見せられていた裏を表だと勘違いしていたと気付く頃には、俺は反逆計画を遂行する歯車の一つになっていた。

敵を欺くにはまず味方から、じゃあ、味方を欺くには?
俺は彼女にとってたった一人の代わりのきかない男になりたかった。
しかしながら、俺が恋した女は俺の手に負えるような女ではなかった。

ナーサリーに到着して、双子をピックアップしたところで真夏の居場所を確認する。GPSの位置情報は予想外の場所を指し示していた。
真夏を日本に帰国させるだけなら、トロントのピアソン空港に向かうはず。しかし、車はナイアガラに向かっている。

「パパー! ママじゃなくてパパがきたー」
「わーい! 今日は特別な日? 何処かお出かけするの?」
「今から、ハイパークに行くぞ」
「「お花見だー!」」

血の繋がりがなくても、俺に懐いてくれているサラとルイ。