弁護士事務所から車でナーサリーに向かう途中にコンドミニアムがある。信号待ちで横目で見たコンドミニアムの入り口には冬城組の園崎がいた。
警備員と押し問答になって中に入れてもらえないでいる。ここの警備員は優秀で住人全員の顔を覚えていた。いくら知り合いだと主張しても通してはもらえないだろう。

俺は違和感を覚えていた。今、誰もいないコンドミニアムに押し入って何の意味があるのだろう。しかも大きなビニール袋を持っている。恐らくあれは、真夏の買い物袋だ。彼女は既に冬城組の手に落ちた可能性が高い。ここに戻ってくるはずはない。

一瞬、俺は一つの可能性を考えた。
園崎が冬城組を裏切り真夏の味方になる可能性だ。

───俺だけでなく双子も殺す命を受けているだろう彼は、組長には殺したと報告しコンドミニアムで双子を保護をする。

信号が赤から青に変わる。
俺は彼が味方だろうと何の力にもならないと判断した。彼はお見合いの時も真夏を逃し冬城源次郎にズタボロになるまで報復されていた。真夏に情があるのだろうが、彼が役に立つとは思えない。所詮、彼は冬城組の大勢の構成員の一人でしかない。