現在、王宮にて貴族総会が開かれようとしていた。参加者は伯爵家以上。
これは年に一回の国の状態の発表会と舞踏会、立食パーティの大イベントである。特に活躍した人材の表彰式も催され、国の幹部である貴族たちへの披露・親睦会も兼ねている。
間に合うかギリギリのところを馬車で走る子爵令嬢のミズハとお付きの侍従執事サトシ。
ミズハ「もう少しだけ急いでください。御者さん」
御者「馬車が揺れますが宜しいですか?」
ミズハ「はい。すみませんが安全にだけはお気をつけて」
サトシ「お尻痛くありませんか?」
ミズハ「一回死んでくれないかしらサトシくん」
急いだものの少し遅れて到着した。
サトシが先に降りてミズハが降りる際のエスコートをする。二人で腕を組んでパーティ会場へと歩を進めた。
「ヨシタカくんは国王陛下と会合を開いてパーティ会場へは陛下と共に入場されるそうですよ。ミズハさんは良かったんですか? 婚約者なのですから彼と一緒でも何の問題もなかったと思いますけど」
「いいのよ。彼はたまには男臭い中で過ごして、陛下と一緒で気が抜けず食事も自由に食べられなければ、普通に私の有難みも分かるでしょう」
「ミキオくんは騎士団長として護衛全体の指揮を任されているそうです」
「彼は放っておくと女性に捕まるから、忙しくていい気味よね」
ユアイ「ミズハねえちゃん、陛下暗殺は本当にあると思います? こんなに厳重にしているのに」
「きっとあるわ。女神様からの神託だもの」
「ハルちゃん、来たかったのかな」
「今この時間にも来たくて仕方がないと思うわ」
「お二人とも、最終打ち合わせですが、全員階級の下の子爵を名乗り、陛下への暗殺を予防・阻止するためにイベントに紛れ込む、何か発生した場合、速やかにミキオくんに通達、騎士団を会場に入れてVIPの来客を保護します。強者が襲ってきた場合は、剣技なら僕とミキオくん、魔法使いならユアイちゃんとミズハさんで対応します。陛下から離れない護衛としてヨシタカ君が配属されています。ご質問は?」
「うんうん、ないよ」
「了解。では各自、警戒を維持しつつ食事を堪能いたしましょう」
しかし彼らは忘れていた。
伯爵以上でなければ、この国家イベントに参加が不可だという事を。
子爵では参加が出来ないのだ。不穏である。
・・・・・
ロレッタ「あらあら、子爵のご令嬢さまがどうしてこの場にいらっしゃるのかしら?」
ミズハ「えっと、それは私の事ですか?」
「あなたと横に居る同じ子爵令嬢のお嬢ちゃんよ。従者の男性は貴女の執事でしょうか」
「そうですが、今日は特別に……「早くお帰りあそばせ」」
「衛兵、こちらにいらっしゃるのは何かの手違いで紛れ込まれた子爵のご令嬢様よ。すみやかに会場外へお連れして差し上げて」
「はっ。ロレッタ様、畏まりました。えっと貴女様は……あれ?」
「ボソボソ」
「あ、ロレッタ様、彼女たちは特別なご許可を取られていらっしゃいますので、ここにいらしても問題はございません」
「へっ! どういうことかしら」
「はっ、いえ、特別な扱いをせよと言う命令が下っております」
「誰よ、そんな命令を下したおバカな責任者は?」
「はっ、宰相閣下でございます」
「へっ?」
「まぁまぁ、いいじゃないですかロレッタ様、私達は大人しく食事しているだけですから」
「……」
ユアイ「ロレッタさん、私あなた嫌い」
「ムッキー! ぶ、無礼者っ! 首を撥ねるわよ。秩序を乱すもの、それは国の運営に支障をきたすわ。衛兵、ひっ捕らえなさい」
「あ、あの……恐れ入りますがロレッタ様、わたくしたちの権限ではそれは出来かねます」
「な、なに仰られてるのか、わたくし理解できませんわ、何とかしなさい」
「あの、何とかも出来ません……」
「くっ、この役立たずが」
これが有名な悪徳侯爵令嬢のロレッタであった。
「ミズハさん、ミキオ君に伝えて彼女を捕縛しておきましょうか?」
「いえ、大丈夫、彼女はこのまま放置で」
ユアイ「あ、お兄ちゃんだ~」
「国王陛下の入室です。参列の皆さま、拍手でお迎えください」
「随行者は、英雄ヨシタカさまー」
「続きましては、教皇猊下さまー」
パチパチパチ パチパチパチ
ロレッタ「あなた達、失礼のないようにしなさいね。英雄ヨシタカさまは当然ご存じでしょうけど、教皇猊下さまは263歳ですからね。お傍に参られたらお労りのお言葉を」
ミズハ「……ロレッタさん」
ユアイ「わざわざ教えてくれるんだ……ありがと」
サトシ「ロレッタさま、お教えくださり感謝いたします。有難き御配慮、わたくし、このご恩は忘れることはございません」
ロレッタ「もういいから。これ以上、口を開かないで」
ここでヨシタカがミズハ達に気づいて声を掛けるために近づいてきた。
ロレッタ「あっ、あっ、あっ、ヨシタカ様ーー(ドキドキ)」
ヨシタカ「おーい」
ロレッタ「あっ、英雄ヨシタカ様が私に声を掛けて下さるなんて……ふぅ~気絶してしまいそう」
「お兄ちゃん! 何してるの。陛下を放っておいたらダメでしょう」
「はいはい、ヨシタカくんは後でね。今はこっち来ちゃダメだってば」
「ヨシタカ君、君はいつも不憫だね」
「ほっとけ! 俺は陛下の元に戻る! ふん。何だよー俺だけ仲間外れにしやがって」
ロレッタ「……」
(あれ? まさか勇者パーティのメンバー? 人の身体をした神様たち、女神様の身内、嘘でしょ。身分を偽って潜入してるの? ええ、ええーーーーーーっ)
その時、すぐ近くにいた暗殺者が変装を解いてミズハに切りかかってきた。
暗殺者「死ねぇ! クソ聖女」
ロレッタ「危ないっっ!」ザクッ
ミズハ「ロレッタさん!」
何という事でしょう。ロレッタはミズハの身代わりになって暗殺者の刃に倒れてしまいました。
ミズハ「どうして、プライドばかりのロレッタさんが私を守ってくださったの?」
「……し、死にそうになっているのに言ってくれるわね、うっ」
「怪我が酷いわ、少し喋らないで」
「もう助からないわ。自分の事は自分で判るもの。でも貴女が助かって良かった」
「そ、そんな……」
「ロレッタねえちゃん、どうして他人の命を救ったの? 自分の事しか考えてなさそうなのに」
「あら、ロレッタねえちゃんと呼んで下さるのですね、嬉しいわ。ユアイ様」
「う、うん。ミズハねえちゃんを助けてくれたから。ありがとう」
「あのですね、ユアイ様。わたしは国に忠誠を誓っているのです。だから上役を救うためなら命だってかけるの。悪徳令嬢と呼ばれていますけど職務には忠実なのですよ」
サトシ「ロレッタさん、もう喋らないでください」
「勇者サトシさま。初めまして。史上最強という誉れ高い勇者さま。想像より格好いいです。素敵です」
サトシ「……おーい、ミキオくん」
ミキオ「なんだー、今暗殺者の仲間たちを全員捕縛したところだ。今行く、ちょっと待ってろ」
サトシ「彼女、ロレッタさんというんだけど、奇麗だし恋人候補にどうだい? 可愛いし性格もいいし、国に対しての忠誠度は抜群だよ」
「お前が恋人にすればいいじゃん」
「僕には、ほら、ハルちゃんがいるから」
「片思いのままだろ」
ミズハ「ごめんなさい。ロレッタさん、傷も酷いし喋っちゃダメよ」
「……いいの。わたしは酷いことばかり言ったでしょ。みなさん勇者パーティの人達なのに。そうすると貴女は聖女ミズハ様。英雄ヨシタカ様の恋人……死んで償っても私の暴言をカバーするには足りませんわ。私も一度は彼に家族ハグをして頂きたかった……だって女の夢ですもの」
「はいはいロレッタさん、もうすぐ治るから大人しくしてて」
「へっ?」
「あのね、私は聖女よ。治癒魔法を極めているの。なんなら蘇生魔法でも使ってあげるわよ。このまま死んでおく?」
「あ、ご、ごめんなさい……」
【一件落着】
従者「ロレッタお嬢様、御無事で良かったです。国王陛下も労ってくださいましたし、これでお家は当分降爵もなく安泰ですね」
「はぁ~、英雄ヨシタカさまにお願いして家族ハグして貰って幸せよ。何ていうのかしら? 心と体を一緒に抱いて頂いた感じ。伝説の家族ハグ……また機会があったら是非していただきたいわ……いえ、してくれなきゃイヤ」
悪徳令嬢と呼ばれて恐れられていたロレッタは、ただ王家に忠実なだけであり、上下関係に厳しくはあれど、彼女には彼女なりの正義があった。
実は長い間、英雄ヨシタカに憧れ、恋心を抱いていたので偶然の出会いで舞い上がってしまった。同時に彼の恋人であり婚約者の聖女ミズハの命を身を挺して守ったことで複雑な感情を経験した。
ただ御礼にとヨシタカの癒し固有スキル『ハグ』にて抱き締められ、今夜はゆっくり眠れそうだと満足げなロレッタであった。
後に聖女の身代わりとなって致命傷を受けて救ったという貢献により、国王から直々に勲章を贈呈された。これで侯爵家としては当分の期間は降爵しないほどの功績となった。
【Fin】
↓ 我が家所蔵、エナメル宝飾ペンダント

これは年に一回の国の状態の発表会と舞踏会、立食パーティの大イベントである。特に活躍した人材の表彰式も催され、国の幹部である貴族たちへの披露・親睦会も兼ねている。
間に合うかギリギリのところを馬車で走る子爵令嬢のミズハとお付きの侍従執事サトシ。
ミズハ「もう少しだけ急いでください。御者さん」
御者「馬車が揺れますが宜しいですか?」
ミズハ「はい。すみませんが安全にだけはお気をつけて」
サトシ「お尻痛くありませんか?」
ミズハ「一回死んでくれないかしらサトシくん」
急いだものの少し遅れて到着した。
サトシが先に降りてミズハが降りる際のエスコートをする。二人で腕を組んでパーティ会場へと歩を進めた。
「ヨシタカくんは国王陛下と会合を開いてパーティ会場へは陛下と共に入場されるそうですよ。ミズハさんは良かったんですか? 婚約者なのですから彼と一緒でも何の問題もなかったと思いますけど」
「いいのよ。彼はたまには男臭い中で過ごして、陛下と一緒で気が抜けず食事も自由に食べられなければ、普通に私の有難みも分かるでしょう」
「ミキオくんは騎士団長として護衛全体の指揮を任されているそうです」
「彼は放っておくと女性に捕まるから、忙しくていい気味よね」
ユアイ「ミズハねえちゃん、陛下暗殺は本当にあると思います? こんなに厳重にしているのに」
「きっとあるわ。女神様からの神託だもの」
「ハルちゃん、来たかったのかな」
「今この時間にも来たくて仕方がないと思うわ」
「お二人とも、最終打ち合わせですが、全員階級の下の子爵を名乗り、陛下への暗殺を予防・阻止するためにイベントに紛れ込む、何か発生した場合、速やかにミキオくんに通達、騎士団を会場に入れてVIPの来客を保護します。強者が襲ってきた場合は、剣技なら僕とミキオくん、魔法使いならユアイちゃんとミズハさんで対応します。陛下から離れない護衛としてヨシタカ君が配属されています。ご質問は?」
「うんうん、ないよ」
「了解。では各自、警戒を維持しつつ食事を堪能いたしましょう」
しかし彼らは忘れていた。
伯爵以上でなければ、この国家イベントに参加が不可だという事を。
子爵では参加が出来ないのだ。不穏である。
・・・・・
ロレッタ「あらあら、子爵のご令嬢さまがどうしてこの場にいらっしゃるのかしら?」
ミズハ「えっと、それは私の事ですか?」
「あなたと横に居る同じ子爵令嬢のお嬢ちゃんよ。従者の男性は貴女の執事でしょうか」
「そうですが、今日は特別に……「早くお帰りあそばせ」」
「衛兵、こちらにいらっしゃるのは何かの手違いで紛れ込まれた子爵のご令嬢様よ。すみやかに会場外へお連れして差し上げて」
「はっ。ロレッタ様、畏まりました。えっと貴女様は……あれ?」
「ボソボソ」
「あ、ロレッタ様、彼女たちは特別なご許可を取られていらっしゃいますので、ここにいらしても問題はございません」
「へっ! どういうことかしら」
「はっ、いえ、特別な扱いをせよと言う命令が下っております」
「誰よ、そんな命令を下したおバカな責任者は?」
「はっ、宰相閣下でございます」
「へっ?」
「まぁまぁ、いいじゃないですかロレッタ様、私達は大人しく食事しているだけですから」
「……」
ユアイ「ロレッタさん、私あなた嫌い」
「ムッキー! ぶ、無礼者っ! 首を撥ねるわよ。秩序を乱すもの、それは国の運営に支障をきたすわ。衛兵、ひっ捕らえなさい」
「あ、あの……恐れ入りますがロレッタ様、わたくしたちの権限ではそれは出来かねます」
「な、なに仰られてるのか、わたくし理解できませんわ、何とかしなさい」
「あの、何とかも出来ません……」
「くっ、この役立たずが」
これが有名な悪徳侯爵令嬢のロレッタであった。
「ミズハさん、ミキオ君に伝えて彼女を捕縛しておきましょうか?」
「いえ、大丈夫、彼女はこのまま放置で」
ユアイ「あ、お兄ちゃんだ~」
「国王陛下の入室です。参列の皆さま、拍手でお迎えください」
「随行者は、英雄ヨシタカさまー」
「続きましては、教皇猊下さまー」
パチパチパチ パチパチパチ
ロレッタ「あなた達、失礼のないようにしなさいね。英雄ヨシタカさまは当然ご存じでしょうけど、教皇猊下さまは263歳ですからね。お傍に参られたらお労りのお言葉を」
ミズハ「……ロレッタさん」
ユアイ「わざわざ教えてくれるんだ……ありがと」
サトシ「ロレッタさま、お教えくださり感謝いたします。有難き御配慮、わたくし、このご恩は忘れることはございません」
ロレッタ「もういいから。これ以上、口を開かないで」
ここでヨシタカがミズハ達に気づいて声を掛けるために近づいてきた。
ロレッタ「あっ、あっ、あっ、ヨシタカ様ーー(ドキドキ)」
ヨシタカ「おーい」
ロレッタ「あっ、英雄ヨシタカ様が私に声を掛けて下さるなんて……ふぅ~気絶してしまいそう」
「お兄ちゃん! 何してるの。陛下を放っておいたらダメでしょう」
「はいはい、ヨシタカくんは後でね。今はこっち来ちゃダメだってば」
「ヨシタカ君、君はいつも不憫だね」
「ほっとけ! 俺は陛下の元に戻る! ふん。何だよー俺だけ仲間外れにしやがって」
ロレッタ「……」
(あれ? まさか勇者パーティのメンバー? 人の身体をした神様たち、女神様の身内、嘘でしょ。身分を偽って潜入してるの? ええ、ええーーーーーーっ)
その時、すぐ近くにいた暗殺者が変装を解いてミズハに切りかかってきた。
暗殺者「死ねぇ! クソ聖女」
ロレッタ「危ないっっ!」ザクッ
ミズハ「ロレッタさん!」
何という事でしょう。ロレッタはミズハの身代わりになって暗殺者の刃に倒れてしまいました。
ミズハ「どうして、プライドばかりのロレッタさんが私を守ってくださったの?」
「……し、死にそうになっているのに言ってくれるわね、うっ」
「怪我が酷いわ、少し喋らないで」
「もう助からないわ。自分の事は自分で判るもの。でも貴女が助かって良かった」
「そ、そんな……」
「ロレッタねえちゃん、どうして他人の命を救ったの? 自分の事しか考えてなさそうなのに」
「あら、ロレッタねえちゃんと呼んで下さるのですね、嬉しいわ。ユアイ様」
「う、うん。ミズハねえちゃんを助けてくれたから。ありがとう」
「あのですね、ユアイ様。わたしは国に忠誠を誓っているのです。だから上役を救うためなら命だってかけるの。悪徳令嬢と呼ばれていますけど職務には忠実なのですよ」
サトシ「ロレッタさん、もう喋らないでください」
「勇者サトシさま。初めまして。史上最強という誉れ高い勇者さま。想像より格好いいです。素敵です」
サトシ「……おーい、ミキオくん」
ミキオ「なんだー、今暗殺者の仲間たちを全員捕縛したところだ。今行く、ちょっと待ってろ」
サトシ「彼女、ロレッタさんというんだけど、奇麗だし恋人候補にどうだい? 可愛いし性格もいいし、国に対しての忠誠度は抜群だよ」
「お前が恋人にすればいいじゃん」
「僕には、ほら、ハルちゃんがいるから」
「片思いのままだろ」
ミズハ「ごめんなさい。ロレッタさん、傷も酷いし喋っちゃダメよ」
「……いいの。わたしは酷いことばかり言ったでしょ。みなさん勇者パーティの人達なのに。そうすると貴女は聖女ミズハ様。英雄ヨシタカ様の恋人……死んで償っても私の暴言をカバーするには足りませんわ。私も一度は彼に家族ハグをして頂きたかった……だって女の夢ですもの」
「はいはいロレッタさん、もうすぐ治るから大人しくしてて」
「へっ?」
「あのね、私は聖女よ。治癒魔法を極めているの。なんなら蘇生魔法でも使ってあげるわよ。このまま死んでおく?」
「あ、ご、ごめんなさい……」
【一件落着】
従者「ロレッタお嬢様、御無事で良かったです。国王陛下も労ってくださいましたし、これでお家は当分降爵もなく安泰ですね」
「はぁ~、英雄ヨシタカさまにお願いして家族ハグして貰って幸せよ。何ていうのかしら? 心と体を一緒に抱いて頂いた感じ。伝説の家族ハグ……また機会があったら是非していただきたいわ……いえ、してくれなきゃイヤ」
悪徳令嬢と呼ばれて恐れられていたロレッタは、ただ王家に忠実なだけであり、上下関係に厳しくはあれど、彼女には彼女なりの正義があった。
実は長い間、英雄ヨシタカに憧れ、恋心を抱いていたので偶然の出会いで舞い上がってしまった。同時に彼の恋人であり婚約者の聖女ミズハの命を身を挺して守ったことで複雑な感情を経験した。
ただ御礼にとヨシタカの癒し固有スキル『ハグ』にて抱き締められ、今夜はゆっくり眠れそうだと満足げなロレッタであった。
後に聖女の身代わりとなって致命傷を受けて救ったという貢献により、国王から直々に勲章を贈呈された。これで侯爵家としては当分の期間は降爵しないほどの功績となった。
【Fin】
↓ 我が家所蔵、エナメル宝飾ペンダント




