今日も朝になる。いつものように起きて、いつものように支度をする。たった独りしかいないこの家に、あったかい朝食なんて置いてあるはずもない。
「今日は食べる気力......無いや」
両親は共働きで、いつも起きると机の上に、1日の食費が1500円程置いてあるだけだ。
つまらない人生、愛情なんてない。物心ついた時から、ずっとこんな生活だったから、愛なんかわからない。正直、そんな自分が嫌いだ。
「消えたいな」
私はそう呟いた。
行きたくもない学校へ、今日も向かう。ただ、何もしないよりはましだからだ。何もしない時ほど、つらいことばかり考えてしまうから......
中学校のいつもの教室に入った瞬間、教室で騒いでいた人たちが一気に静まり返る。いつものことであるため、机に向かった私は後悔した。私の机には、無数の暴言やら落書きやらが書いてあったのだ。
「死ね」
「消えろ」
「クソ女」
「キチガイ」
そんな言葉ばかりが聞こえてくる......
「私は、みんなにとって邪魔者なんだな......」
思わずそう呟いた。そして、こういったことは、一向になくなる気配を見せないし、誰にも相談できない。まるで、明けない夜の中のように、私の感情は無くなっていった。
今、私は屋上にいる。何にもできることなんてない。ただ、人生に絶望したからここにいる。帰り道なんてない。ただ先にあるのは、暗く、深い闇だ。そんな私を嘲笑うかのように、今日も綺麗な青空が、この世界を照らしている。
私に生きる意味なんてない。私に心なんてない。ただ疲れたのだ。今日を生きるのも、明日に絶望するのも。ただ私は楽になりたいだけなのだ。
「君は、本当にそれでいいのかい?」
ふと、そんな声が聞こえた。振り返ると、そこにいたのは、1匹の三毛猫だった。
「あなたには関係ないでしょ。」
「おやおや、人間の言葉を話す猫に驚かないとはね。というか、君には私が見えているみたいだね。」
「どういうつもり?あなたは何をしにきたのさ。」
私は猫に対してそう言った。
「それはね、今にも死にそうなあなたを、生かすためさ。」
猫は真っ直ぐな目でそう答えた。
「は?そんなこと......あなたに私の何がわかるというのさ!」
なんだこんな猫、私の邪魔をするつもりなのか?私はつらさから逃げ出さしたいだけなのに......
「なら、話してみればいいじゃないか?」
「は?何を言って......」
「ここに来るということは、死を望むほどの問題を抱えているということだ、違うか?」
「だからさ......さっきから何様のつもり?私に救いなんていらな......」
「初対面の僕がこんなこと言うのもおかしい話だけどさ。」
「......」
「君は、まだ生きてやりたいことがあるんじゃないかい?」
「......それは......」
確かにある。やりたいこと、叶えたい夢。だけど、そんなのできるわけないじゃない。今までがそうだったのだから......
「なら、君のつらさ、僕に教えてくれないかい?僕に話すだけでも、少し変わると思うよ。」
私は、さっきからずっと拒絶しているはずなのに、何故この猫はずっとそばにいて、優しく話しかけてくれるのだろう?話せば変わるのだろうか?人生を、好転できるのだろうか?気がついたら、今までの全てのことを、話していたのだ。
「そうか、それでこの屋上に来たのだね。」
「そうよ。正直、今も死にたい気持ちでいっぱいさ。何も希望なんてない。私が生きていても、無駄なだけなんだから。」
「決してそんなことはないんじゃないかい?」
「へ?」
「君を必要としてくれる人間は、きっとどこかにいる。その人の為に生きることが、やがて、自分の為になるはず。そう信じて生きてみるのはどうだい?」
「馬鹿な、そんな人いるわけ......」
「ここにいるではないか。」
は、何を言って......
「君に生きていてほしい生き物がさ。」
......名前も知らないあなたは、なんて優しいのだろう。思わず涙が溢れた。
「ありがとう。生きてみるよ......」
「そう、ならよかった。またつらかったらここに来な。いつでも待ってるよ。」
そう言って、あなたは消えた。
青空は今日も、私の心を照らしている。1匹の猫の魂を乗せて、私は今日を生きていく。
「今日は食べる気力......無いや」
両親は共働きで、いつも起きると机の上に、1日の食費が1500円程置いてあるだけだ。
つまらない人生、愛情なんてない。物心ついた時から、ずっとこんな生活だったから、愛なんかわからない。正直、そんな自分が嫌いだ。
「消えたいな」
私はそう呟いた。
行きたくもない学校へ、今日も向かう。ただ、何もしないよりはましだからだ。何もしない時ほど、つらいことばかり考えてしまうから......
中学校のいつもの教室に入った瞬間、教室で騒いでいた人たちが一気に静まり返る。いつものことであるため、机に向かった私は後悔した。私の机には、無数の暴言やら落書きやらが書いてあったのだ。
「死ね」
「消えろ」
「クソ女」
「キチガイ」
そんな言葉ばかりが聞こえてくる......
「私は、みんなにとって邪魔者なんだな......」
思わずそう呟いた。そして、こういったことは、一向になくなる気配を見せないし、誰にも相談できない。まるで、明けない夜の中のように、私の感情は無くなっていった。
今、私は屋上にいる。何にもできることなんてない。ただ、人生に絶望したからここにいる。帰り道なんてない。ただ先にあるのは、暗く、深い闇だ。そんな私を嘲笑うかのように、今日も綺麗な青空が、この世界を照らしている。
私に生きる意味なんてない。私に心なんてない。ただ疲れたのだ。今日を生きるのも、明日に絶望するのも。ただ私は楽になりたいだけなのだ。
「君は、本当にそれでいいのかい?」
ふと、そんな声が聞こえた。振り返ると、そこにいたのは、1匹の三毛猫だった。
「あなたには関係ないでしょ。」
「おやおや、人間の言葉を話す猫に驚かないとはね。というか、君には私が見えているみたいだね。」
「どういうつもり?あなたは何をしにきたのさ。」
私は猫に対してそう言った。
「それはね、今にも死にそうなあなたを、生かすためさ。」
猫は真っ直ぐな目でそう答えた。
「は?そんなこと......あなたに私の何がわかるというのさ!」
なんだこんな猫、私の邪魔をするつもりなのか?私はつらさから逃げ出さしたいだけなのに......
「なら、話してみればいいじゃないか?」
「は?何を言って......」
「ここに来るということは、死を望むほどの問題を抱えているということだ、違うか?」
「だからさ......さっきから何様のつもり?私に救いなんていらな......」
「初対面の僕がこんなこと言うのもおかしい話だけどさ。」
「......」
「君は、まだ生きてやりたいことがあるんじゃないかい?」
「......それは......」
確かにある。やりたいこと、叶えたい夢。だけど、そんなのできるわけないじゃない。今までがそうだったのだから......
「なら、君のつらさ、僕に教えてくれないかい?僕に話すだけでも、少し変わると思うよ。」
私は、さっきからずっと拒絶しているはずなのに、何故この猫はずっとそばにいて、優しく話しかけてくれるのだろう?話せば変わるのだろうか?人生を、好転できるのだろうか?気がついたら、今までの全てのことを、話していたのだ。
「そうか、それでこの屋上に来たのだね。」
「そうよ。正直、今も死にたい気持ちでいっぱいさ。何も希望なんてない。私が生きていても、無駄なだけなんだから。」
「決してそんなことはないんじゃないかい?」
「へ?」
「君を必要としてくれる人間は、きっとどこかにいる。その人の為に生きることが、やがて、自分の為になるはず。そう信じて生きてみるのはどうだい?」
「馬鹿な、そんな人いるわけ......」
「ここにいるではないか。」
は、何を言って......
「君に生きていてほしい生き物がさ。」
......名前も知らないあなたは、なんて優しいのだろう。思わず涙が溢れた。
「ありがとう。生きてみるよ......」
「そう、ならよかった。またつらかったらここに来な。いつでも待ってるよ。」
そう言って、あなたは消えた。
青空は今日も、私の心を照らしている。1匹の猫の魂を乗せて、私は今日を生きていく。

