「LU:NA.だー!」
ドーム近くのショッピングモール。
ある一角にやけに人が集まっていると思ったら……。
LU:NA.がアンバサダーを務めている化粧水の売り場だった。
なんか、購入したら、LU:NA.のカードがついてくるらしい。
「まあ、化粧水とかいらないし。カードは欲しいけど……」
雪宮は、買うつもりはないらしい。
驚きだ。
推しのものって、なんでも欲しくなるわけじゃないんだ……。
「ねぇ、どうする?芽依、本屋でも行く?」
「うん!」
電車では、やることがなかったけど、電車降りてからも、列に並んでガチャを回しに行く雪宮についていくの、結構しんどかった。
それで次は、本、ね……。
そこまで好きでもないんだよなー。
「……葉月、どうする?別行動でもする?」
『え、あ、あー、うん。そうだね』
「うん、じゃあ、18時くらいに、ごはん食べるから、その時に集合ね!……まあ、会えなくてもなんとかなるでしょ!ライブは19時からだからね!今日はスタンド下段だから、会えなかったら、探してね!じゃあ!」
適当だなぁ……。
会えなかったら探して、って……。
まあ、いいや。
本屋には正直興味ないし。
適当に雑貨屋でも……。
『……っ⁉︎』
なんで?
なんで、あの人たちが……⁉︎
『ねえ明さん、明日はショッピングモールに行くのよね?』
『そうだな……。大阪のショッピングモールに行く。もうすぐ璃子ちゃんの誕生日だからな』
ああ、そうだ。
そうだった。
昨日、言っていたじゃないか。
大阪のショッピングモールに行く、って。
『なんで、よりによって……っ』
別行動なんて、するんじゃなかった。
雪宮と一緒に本屋にいれば、会わなかったかもしれないのに。
「それにしても、今日人が多いわね」
「京セラでライブやるんでしょ?LU:NA.ってグループが」
早く、ここから立ち去りたいのに、体が動かない。
「へぇー、そうだったの。聞いたことあるわ、LU:NA.」
俺が入ろうとしていた雑貨屋に入っていく。
もう、最悪だ。
ショッピングモールから出てすぐの場所で、雪宮を待つ。
18時くらいにはごはんを食べると言っていたな。
確か、おにぎりを持っていたっけ。
外で食べるのかなー。
それにしても、もう少し時間があるなぁー。
『暇だなー』
雪宮、いつ出てくるのかな。
わからない。
1人で、こんなところに突っ立っているのは、俺くらいだ。
他にも1人の人はいるけれど、待ち合わせしていそうだったり、1人でライブに行きそうだったり、ショッピングモールで買い物をした帰りだったりと、突っ立っているような人はいない。
『俺、なんでこうなっちゃったんだろう』
雑貨屋を見る予定だったのに……。
時間があれば、ゲームセンターにも行こうと思っていたけれど、あの人たちを、もう見たくない。
……ここにいても、鉢合わせするかもな。
『もう、いやだ……』
ズキリ ズキリ
お腹が痛い。
頭が痛い。
吐き気がする。
浮遊感がある。
どうしよう、どうしよう。
誰か、助けて……っ。
「葉月?」
『ゆ、きみ、や、さん……』
うずくまって何分か経ってから、雪宮は建物の中から出てきた。
「大丈夫?」
周りの人に聞こえないように、小声で話しかけてくる。
『うん、だ、いじょ、うぶ』
まだ少し辛いけれど、雪宮が来てくれたらおかげで、少し楽になった。
「そう?じゃあ、あっちだから」
ここに来るのは3回目らしい。
中2の頃に来たLU:NA.のライブとKey Me;のライブ。
どちらも、同じ場所でごはんを食べたそうだ。
人が少なくて、ごはんを食べるのに良いらしい。
「うん、今回もあんまりいないね」
5、6人はいるけれど、今まで通ってきた道の人の数に比べれば、ものすごく少ない。
「じゃあ、夕飯にしよっか」
「うん!」
雪宮は、カバンの中からおにぎりを取り出す。
そういえば、雪宮のカバン、同じものを持っている人、結構いたな……。
「どしたの?葉月」
カバンを必死に漁っている母親を見て、話すチャンスだと思ったのだろうか。
俺の方を見て、小声で話しかけてくる。
『え?ああ、いや、別に……』
「そう?ならいいけど……」
ツナマヨおにぎりを頬張る雪宮。
「なんか、悪いことしちゃったかもなー、って思って」
『え?悪いこと?』
「ねえ、芽依。サンドイッチ、お母さんどこに入れたっけ?」
「え?カバンの中でしょ?」
「そうなんだけど、ないのよ……」
会話は中止。
俺は、その辺を見ることにした。
……幽霊って、ずっと浮いてるんだな…………。
ずっとフワフワしていて、なんだか変な感じだ。
自分じゃないみたい。
どれだけ歩いても疲れないし、お腹も空かない。
モノにも触れられない。
幽霊って、つまらない。
ここにいる人は、全員がキラキラしている。
……推しがいる、って、良いなぁ。
『俺にも、そういう生きがいがあれば、死ななかったのかもな……』
なんて、今考えても意味なんてない。
『どうせ、俺は幽霊だ。もう生き返ることなんて……』
「あ、いたいた、葉月!」
『雪宮さん……』
「もう!急いで!会場の中入るんだから!」
意外と時間が経っていた。
『っていうか、俺、どこにいれば良いの?』
「芽依ー!何してるのー?入るよー!」
「はーい!ほら、早く!」
『え、あ、うん』
雪宮について行く。
へー、ライブって、こんな感じなんだ……。
「芽依、こっちだよね?」
「え?……ああ、うん。こっち」
スタンド下段って、どれくらい見れるんだろう?
「この列だよね?」
「うん、そうそう」
意外と見える。
「葉月、通路にいる?……アリーナとか行ってもいいけど」
『ありー、な……。……うーん。とりあえず、その辺ブラブラしとくよ』
「あ、そっか、うん。分かった」
LU:NA.について、俺は知らない。
俺なんかが、来る場所じゃないよな。
チケットが外れて、来れなかったファンもいるのに……。
『あれっ⁉︎君、幽霊?』
『え⁉︎』
振り向くと、明るく、活発そうな女子高生が俺を見ていた。
『そう、ですけど……』
『やっぱり!私、三輪 梨桜っていうの!……その制服、夏芽高校?』
『え、あ、はい』
俺が死んだ時に着ていたのは、制服だったから、今も服は制服だ。
『君、名前は?』
『……葉月、麻人、です』
『へー、珍しい名字だね』
三輪 梨桜と名乗った彼女は、塔英高校の制服を着ていた。
『君、芽依ちゃんと一緒にいたでしょ?』
『え、そうですけど……。知り合いですか?』
『うん。知り合いだよ。芽依ちゃんとは、小学校が一緒でね!君は?』
雪宮の友達か……。
『あ、雪宮さんとは、中学から一緒で……』
『あー!芽依ちゃんも夏芽高校だったね!納得!』
「あ、いた!梨桜ー」
『じゃあね、葉月くん。芽依ちゃんと中学一緒なら、意外と家近いかもね。幽霊同士、仲良くしようね。』
梨桜さんは、迎えにきた女の人と一緒に去って行った。
……あの人は、どうして死んだんだろう?
自殺する人には見えなかった。
『事故、とか?』
……まあ、考えても分からないか。
特にどこか行きたい場所もなかったので、俺は雪宮の近くまで戻った。
ドーム近くのショッピングモール。
ある一角にやけに人が集まっていると思ったら……。
LU:NA.がアンバサダーを務めている化粧水の売り場だった。
なんか、購入したら、LU:NA.のカードがついてくるらしい。
「まあ、化粧水とかいらないし。カードは欲しいけど……」
雪宮は、買うつもりはないらしい。
驚きだ。
推しのものって、なんでも欲しくなるわけじゃないんだ……。
「ねぇ、どうする?芽依、本屋でも行く?」
「うん!」
電車では、やることがなかったけど、電車降りてからも、列に並んでガチャを回しに行く雪宮についていくの、結構しんどかった。
それで次は、本、ね……。
そこまで好きでもないんだよなー。
「……葉月、どうする?別行動でもする?」
『え、あ、あー、うん。そうだね』
「うん、じゃあ、18時くらいに、ごはん食べるから、その時に集合ね!……まあ、会えなくてもなんとかなるでしょ!ライブは19時からだからね!今日はスタンド下段だから、会えなかったら、探してね!じゃあ!」
適当だなぁ……。
会えなかったら探して、って……。
まあ、いいや。
本屋には正直興味ないし。
適当に雑貨屋でも……。
『……っ⁉︎』
なんで?
なんで、あの人たちが……⁉︎
『ねえ明さん、明日はショッピングモールに行くのよね?』
『そうだな……。大阪のショッピングモールに行く。もうすぐ璃子ちゃんの誕生日だからな』
ああ、そうだ。
そうだった。
昨日、言っていたじゃないか。
大阪のショッピングモールに行く、って。
『なんで、よりによって……っ』
別行動なんて、するんじゃなかった。
雪宮と一緒に本屋にいれば、会わなかったかもしれないのに。
「それにしても、今日人が多いわね」
「京セラでライブやるんでしょ?LU:NA.ってグループが」
早く、ここから立ち去りたいのに、体が動かない。
「へぇー、そうだったの。聞いたことあるわ、LU:NA.」
俺が入ろうとしていた雑貨屋に入っていく。
もう、最悪だ。
ショッピングモールから出てすぐの場所で、雪宮を待つ。
18時くらいにはごはんを食べると言っていたな。
確か、おにぎりを持っていたっけ。
外で食べるのかなー。
それにしても、もう少し時間があるなぁー。
『暇だなー』
雪宮、いつ出てくるのかな。
わからない。
1人で、こんなところに突っ立っているのは、俺くらいだ。
他にも1人の人はいるけれど、待ち合わせしていそうだったり、1人でライブに行きそうだったり、ショッピングモールで買い物をした帰りだったりと、突っ立っているような人はいない。
『俺、なんでこうなっちゃったんだろう』
雑貨屋を見る予定だったのに……。
時間があれば、ゲームセンターにも行こうと思っていたけれど、あの人たちを、もう見たくない。
……ここにいても、鉢合わせするかもな。
『もう、いやだ……』
ズキリ ズキリ
お腹が痛い。
頭が痛い。
吐き気がする。
浮遊感がある。
どうしよう、どうしよう。
誰か、助けて……っ。
「葉月?」
『ゆ、きみ、や、さん……』
うずくまって何分か経ってから、雪宮は建物の中から出てきた。
「大丈夫?」
周りの人に聞こえないように、小声で話しかけてくる。
『うん、だ、いじょ、うぶ』
まだ少し辛いけれど、雪宮が来てくれたらおかげで、少し楽になった。
「そう?じゃあ、あっちだから」
ここに来るのは3回目らしい。
中2の頃に来たLU:NA.のライブとKey Me;のライブ。
どちらも、同じ場所でごはんを食べたそうだ。
人が少なくて、ごはんを食べるのに良いらしい。
「うん、今回もあんまりいないね」
5、6人はいるけれど、今まで通ってきた道の人の数に比べれば、ものすごく少ない。
「じゃあ、夕飯にしよっか」
「うん!」
雪宮は、カバンの中からおにぎりを取り出す。
そういえば、雪宮のカバン、同じものを持っている人、結構いたな……。
「どしたの?葉月」
カバンを必死に漁っている母親を見て、話すチャンスだと思ったのだろうか。
俺の方を見て、小声で話しかけてくる。
『え?ああ、いや、別に……』
「そう?ならいいけど……」
ツナマヨおにぎりを頬張る雪宮。
「なんか、悪いことしちゃったかもなー、って思って」
『え?悪いこと?』
「ねえ、芽依。サンドイッチ、お母さんどこに入れたっけ?」
「え?カバンの中でしょ?」
「そうなんだけど、ないのよ……」
会話は中止。
俺は、その辺を見ることにした。
……幽霊って、ずっと浮いてるんだな…………。
ずっとフワフワしていて、なんだか変な感じだ。
自分じゃないみたい。
どれだけ歩いても疲れないし、お腹も空かない。
モノにも触れられない。
幽霊って、つまらない。
ここにいる人は、全員がキラキラしている。
……推しがいる、って、良いなぁ。
『俺にも、そういう生きがいがあれば、死ななかったのかもな……』
なんて、今考えても意味なんてない。
『どうせ、俺は幽霊だ。もう生き返ることなんて……』
「あ、いたいた、葉月!」
『雪宮さん……』
「もう!急いで!会場の中入るんだから!」
意外と時間が経っていた。
『っていうか、俺、どこにいれば良いの?』
「芽依ー!何してるのー?入るよー!」
「はーい!ほら、早く!」
『え、あ、うん』
雪宮について行く。
へー、ライブって、こんな感じなんだ……。
「芽依、こっちだよね?」
「え?……ああ、うん。こっち」
スタンド下段って、どれくらい見れるんだろう?
「この列だよね?」
「うん、そうそう」
意外と見える。
「葉月、通路にいる?……アリーナとか行ってもいいけど」
『ありー、な……。……うーん。とりあえず、その辺ブラブラしとくよ』
「あ、そっか、うん。分かった」
LU:NA.について、俺は知らない。
俺なんかが、来る場所じゃないよな。
チケットが外れて、来れなかったファンもいるのに……。
『あれっ⁉︎君、幽霊?』
『え⁉︎』
振り向くと、明るく、活発そうな女子高生が俺を見ていた。
『そう、ですけど……』
『やっぱり!私、三輪 梨桜っていうの!……その制服、夏芽高校?』
『え、あ、はい』
俺が死んだ時に着ていたのは、制服だったから、今も服は制服だ。
『君、名前は?』
『……葉月、麻人、です』
『へー、珍しい名字だね』
三輪 梨桜と名乗った彼女は、塔英高校の制服を着ていた。
『君、芽依ちゃんと一緒にいたでしょ?』
『え、そうですけど……。知り合いですか?』
『うん。知り合いだよ。芽依ちゃんとは、小学校が一緒でね!君は?』
雪宮の友達か……。
『あ、雪宮さんとは、中学から一緒で……』
『あー!芽依ちゃんも夏芽高校だったね!納得!』
「あ、いた!梨桜ー」
『じゃあね、葉月くん。芽依ちゃんと中学一緒なら、意外と家近いかもね。幽霊同士、仲良くしようね。』
梨桜さんは、迎えにきた女の人と一緒に去って行った。
……あの人は、どうして死んだんだろう?
自殺する人には見えなかった。
『事故、とか?』
……まあ、考えても分からないか。
特にどこか行きたい場所もなかったので、俺は雪宮の近くまで戻った。



