「にゃっこにゃこ!」



「あ、ボクのボール!」

ちょうど公園の前を通りかかったタイミングで、黄色いボールが転がってきた。ソウタの足元にぶつかり止まったボールを、拾い上げる。
声が聞こえた方に目を向ければ、公園内から駆けてくるのは、二歳くらいの歳に見える男の子だった。

「もう! 笑也ったら、一人で走っていったら危ないでしょう?」
「だってぇ、ボールが……」

男の子の後ろから駆けてきたのは、男の子の母親だろう。男の子の手を掴んで、ホッと息を漏らしている。

「あ、あのお兄ちゃんがボールを拾ってくれたみたいよ。ごめんなさいね?」
「いえ、大丈夫です」

離れたところから目が合った母親は、ソウタが持っているボールに気づくと、申し訳なさそうな顔をして謝ってくる。ソウタは公園に数歩足を踏み入れた。近づいてきた男の子と目線を合わせるように屈みこんで、ボールを手渡す。

「はい、これ」
「わ、ありがとう、お兄ちゃん!」
「どういたしまして。でも危ないから、一人で走って公園を飛び出しちゃだめだよ。道路には車だって走ってるんだからね」
「はーい!」

ソウタの言葉に素直に返事をした男の子は、二ッと歯を見せて笑った。
微笑ましい気持ちになりながら、ソウタは男の子の頭を軽く撫でる。