闇サイトハンター

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 山並郁夫とは、俺のこと。
 俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。
 長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。
 ところが、人生、思ったようにはいかない。

 だが、「闇サイトハンター」になって、俺は変わった。
 「影の正義の味方」になるのだ。
 大文字伝子様の為に。

 闇サイトは、ある程度時間開いて、閉じる。まるでモグラのように。
 それに、「年中暇な」若者が引っかかる。まるで「疑似餌」に魚が飛びつくように。
 超一流ハッカーの俺は、その「開いて閉じる」サイトの様子を記録するシステムを開発した。年中24時間見張っている訳にはいかないからだ。

 俺は、義理の姉に、『暇つぶし』で立ち寄っていたが、やはり当面『距離』を置くことにした。
 何かの拍子に義姉との関係がばれれば、間違いなく『人質』にされてしまう。
 義姉は、大金持ちの男と結婚した。
 風俗に働いていて、知り合ったのだ。
 だから、義姉は処女ではない。
 だが、悪漢・・・は、古いか。悪い奴に捕まったら、何をされるか分からない。
 腹違いとは言え、唯一の身内なのだ。

 ぼうっとしていると、頼んだパフェが目の前に来た。
 「お客さん、そのパフェ、好きですね。いつも、それ。」「うん、あんたを口説こうと思ってね。」「高くつくわよ。」
 ウェイトレスは意味ありげに言って、去って行った。
 PCを卓上コンセントに繋ぎ、店のWi-Fiを通じて、システムからのアラーム通知メールが来ていないかどうかをチェックしてから、PCを閉じた。
 トイレに行き、何か違和感を覚えた。
 個室?ずるずるっという音がした。
 俺は、得意の懸垂で中を覗き込んだ。
 あのウェイトレスだ。
 勿体ないことをした。
 口説いて「一戦」交えておくべきだった。
 俺は、厨房に入っていった。
 調理係が倒れていた。
 息はあるようだった。
 店の公衆電話で、110番をし、事情を話した。
 ウェイトレスは死んでいた。
 厨房担当者は虫の息だった。
 参考人という事で、俺はバイクと共に警察署に行った。
 名刺を見ながら、刑事は言った。
 「興信所の下請け?どんな事するんです?」
 「書類の作成です。調査員は出歩く分、報告書作る時間があまりないんです。」
 報告書の下請けをしていることは事実だった。
 だが、刑事に俺のペースが分かる筈も無い。
 今、抱えているのは、年度終わり近くに『青色申告』する為のものだ。
 急ぐものでもない。
 怪しまれたが、新しいアジトの住所が名刺には書かれてある。
 俺は潔白だ。
 取り敢えず「証拠不充分」で開放された。
 本受けの会社に確認を取ったに違い無い。
 本受けの興信所は、俺の幼なじみが経営している。
 興信所調査員は師匠に破門されたが、幼なじみと、また興信所と繋がりが持てた。
 下請けの仕事は、基本的にロハ、つまり、タダだ。
 「お前、本当に殺ったりしてないだろうな?」
 「してたら、まずゲロってるよ、お前に。」
 「ならいい。」
 3日後。刑事から連絡が来た。
 詳細は教えてくれないが、回復した店長から『無理心中』を計ったと聞き出せた、と言っていた。
 手を出さずに正解だった。
 そして、自分自身に誓った。
 2度と、『深夜のファミレス』には近寄らないと。
 ―完―