話は少し、さかのぼる。
「仕事辞めて、九州に行こうと思って」
2000年の冬。僕は実家に戻った時、お父さんに言った。
「そうか」
「いつからだよ」
反対されたり、意見をぶつけられると思っていた僕は少子抜けしたのを覚えている。
「なるべく早く行こうと思ってるけど」
深くは考えていない僕は、適当に返事をしておいた。一回気持ちを伝えておけば、後はどうでも良いだろうと思っていたから。
僕が中学1年生の頃、お父さんとお母さんは離婚した。
今はテレビを付けたりネットを見れば、「シングル」という言葉がどこかしこに溢れている。でも当時は離婚している家庭はまだまだ珍しく、僕は誰にも言うことができかった。
(……恥ずかしい)
これまで何も考えずに生きてきた僕。お父さんの離婚以来、友達が笑っていても……心の底から笑うことができなくなってしまった。
「お前んち、お母さん何してんだよ」
こんな会話になることだけは絶対に避けたい……僕は友達との間に距離を作っていった。自分から。男子や女子問わず、休み時間はいつも笑って過ごしていた僕だったけど、いつの間にか、1人でいることが多くなっていった。
「ほら、作ったぞ。食えよ」
お父さんは会社から夕方6時になると必ず帰宅して、晩ご飯を作る。これまで明るかった家の中は、テレビの音だけが流れる空間となり、僕とお父さんは毎日無言で食卓を囲む。
この時、お父さんは何を考えていたのだろう……?
この時、僕に対して何を想っていたのだろう……?
ちょうど中学生という多感な時期もあり、お父さんに対して僕は一言もしゃべることはなかった。
(……こんな家にしやがって)
(お前が悪いんだろ……)
いつも僕に優しく、色々なところへ連れて行ってくれたお母さんの声は、もう聞こえない。「全部お父さんが悪いんだろう」と僕は考えながら、作ってくれた晩ご飯を食べる毎日を送っていた。
僕は1人で、いつもイライラしていた。
「お前が悪いんだ」
「こんな家、早く出ていってやる」
毎日毎日毎日……
思っていた。
でも、家を飛び出して
お母さんの所に行く勇気は僕にはなかった。
「仕事辞めて、九州に行こうと思って」
2000年の冬。僕は実家に戻った時、お父さんに言った。
「そうか」
「いつからだよ」
反対されたり、意見をぶつけられると思っていた僕は少子抜けしたのを覚えている。
「なるべく早く行こうと思ってるけど」
深くは考えていない僕は、適当に返事をしておいた。一回気持ちを伝えておけば、後はどうでも良いだろうと思っていたから。
僕が中学1年生の頃、お父さんとお母さんは離婚した。
今はテレビを付けたりネットを見れば、「シングル」という言葉がどこかしこに溢れている。でも当時は離婚している家庭はまだまだ珍しく、僕は誰にも言うことができかった。
(……恥ずかしい)
これまで何も考えずに生きてきた僕。お父さんの離婚以来、友達が笑っていても……心の底から笑うことができなくなってしまった。
「お前んち、お母さん何してんだよ」
こんな会話になることだけは絶対に避けたい……僕は友達との間に距離を作っていった。自分から。男子や女子問わず、休み時間はいつも笑って過ごしていた僕だったけど、いつの間にか、1人でいることが多くなっていった。
「ほら、作ったぞ。食えよ」
お父さんは会社から夕方6時になると必ず帰宅して、晩ご飯を作る。これまで明るかった家の中は、テレビの音だけが流れる空間となり、僕とお父さんは毎日無言で食卓を囲む。
この時、お父さんは何を考えていたのだろう……?
この時、僕に対して何を想っていたのだろう……?
ちょうど中学生という多感な時期もあり、お父さんに対して僕は一言もしゃべることはなかった。
(……こんな家にしやがって)
(お前が悪いんだろ……)
いつも僕に優しく、色々なところへ連れて行ってくれたお母さんの声は、もう聞こえない。「全部お父さんが悪いんだろう」と僕は考えながら、作ってくれた晩ご飯を食べる毎日を送っていた。
僕は1人で、いつもイライラしていた。
「お前が悪いんだ」
「こんな家、早く出ていってやる」
毎日毎日毎日……
思っていた。
でも、家を飛び出して
お母さんの所に行く勇気は僕にはなかった。



