「えいっ! えいっ……! えいっ!」
夜はテレビの付いた2階で、にゃーちゃんと遊ぶのが日課。
「猫はストレスを溜めやすい生き物です」とネットで見て以来、僕はできるだけ一緒に遊ぶようになった。それにしても子猫の体力は凄い。僕の方が先にバテてしまう。
「はぁ。……休憩」
「にゃー! にゃー!」
もっと遊んでよ!とばかりに、ふりふりのおもちゃの動きを止めると、懇願するような表情になる。なんて人間ぽいんだろう?
「えー……疲れた! ちょっと休憩させて」
「……にゃぁ……」
耳をしゅんと折り曲げて、空気を察したのか……部屋のパトロールへと戻る。
それにしても、にゃーちゃんの背中を見ていると、自分の行動が信じられなくなる時がある。自分でさえ生きていくことができるか分からなかったのに。なぜにゃーちゃんを追い出すことなく……一緒に暮らすことを選んだのか。
喫茶店を使いたいという松野さんが現れなかったら……本当にアウトだった。現金が本当にないから。
でも不思議と……「これも縁かな」と思うようになり、「この子には不自由な思いをして欲しくないな」と暮らし出してから思うようになっていた。何故だろう?自分でもよく分からない。
「月に5、6回使わせて頂きたいのですが……大丈夫ですか?」
「はい。オープンしたてで……こんな感じでまだまだお客さん少ないので大丈夫です」
お客さんが少ないのはオープンしたて」という理由。僕は店内を見渡し、笑ってみせた。
「でも……ここ雰囲気良いのに。もっとお客さん入っても良い気がしますけどねぇ」
「僕もそう思います。もっと来てもらわないと……なかなか大変で」
「チラシとか、入れてみれば良いんじゃないですか?」
松野さんの提案してくれる「チラシ」。もちろん僕もオープンさせる時に考えた。でも銀行口座に残った20万円を見ると……とてもチラシを入れる気は起きなかった。
「あれ? ……猫?」
松野さんが、階段の一番下にいるにゃーちゃんに気が付く。
(あっ……しまった……2階のふすま……)
仕事中は、にゃーちゃんが部屋を出て1階に下りてこないように、僕は2階のふすまに外から突っ張り棒をするようにしていた。
「あっ……猫、飼ってるんですよね。ごめんなさい」
「そういうことですか! 可愛いー! 黒猫ちゃんだ!」
「そうなんですよ」
「誰から譲渡してもらったんですか? 黒猫ちゃん」
「いや、実はですね……そこにいたんです」
僕はドアのすぐ外を指さす。
「掃除してたら……あそこでずっと鳴いてるんですよ」
「へぇ……そうだったんですか」
「はい。にゃーにゃー鳴いてて。いきなり2階に上がっちゃんです。それで」
「すっごい縁じゃないですか……」
「そうですかね?」
「そうですよ!」
松野さんは身を乗り出し、目は爛々と輝いている。
「きっと斎藤さんの事、好きなんだと思いますよ!」
「……そうですかねぇ」
「ね? 黒猫ちゃん?」
松野さんがにゃーちゃんに向かって言うと、にゃーちゃんは理解しているかのように「にゃあー」と返事をした。
「私がこのお店に出会えたのも……もしかすると黒猫ちゃんのお陰かも知れないですね」
「あぁ……なるほど」
「だって……斎藤さんが黒猫ちゃんのキャットタワーを買いに来てなかったら……あの日私、斎藤さんに会えてませんもんね」
松野さんはにゃーちゃんの方を向いて、にこりと笑った。にゃーちゃんもそれに応えるかのように「にゃー!」とまた鳴いた。
夜はテレビの付いた2階で、にゃーちゃんと遊ぶのが日課。
「猫はストレスを溜めやすい生き物です」とネットで見て以来、僕はできるだけ一緒に遊ぶようになった。それにしても子猫の体力は凄い。僕の方が先にバテてしまう。
「はぁ。……休憩」
「にゃー! にゃー!」
もっと遊んでよ!とばかりに、ふりふりのおもちゃの動きを止めると、懇願するような表情になる。なんて人間ぽいんだろう?
「えー……疲れた! ちょっと休憩させて」
「……にゃぁ……」
耳をしゅんと折り曲げて、空気を察したのか……部屋のパトロールへと戻る。
それにしても、にゃーちゃんの背中を見ていると、自分の行動が信じられなくなる時がある。自分でさえ生きていくことができるか分からなかったのに。なぜにゃーちゃんを追い出すことなく……一緒に暮らすことを選んだのか。
喫茶店を使いたいという松野さんが現れなかったら……本当にアウトだった。現金が本当にないから。
でも不思議と……「これも縁かな」と思うようになり、「この子には不自由な思いをして欲しくないな」と暮らし出してから思うようになっていた。何故だろう?自分でもよく分からない。
「月に5、6回使わせて頂きたいのですが……大丈夫ですか?」
「はい。オープンしたてで……こんな感じでまだまだお客さん少ないので大丈夫です」
お客さんが少ないのはオープンしたて」という理由。僕は店内を見渡し、笑ってみせた。
「でも……ここ雰囲気良いのに。もっとお客さん入っても良い気がしますけどねぇ」
「僕もそう思います。もっと来てもらわないと……なかなか大変で」
「チラシとか、入れてみれば良いんじゃないですか?」
松野さんの提案してくれる「チラシ」。もちろん僕もオープンさせる時に考えた。でも銀行口座に残った20万円を見ると……とてもチラシを入れる気は起きなかった。
「あれ? ……猫?」
松野さんが、階段の一番下にいるにゃーちゃんに気が付く。
(あっ……しまった……2階のふすま……)
仕事中は、にゃーちゃんが部屋を出て1階に下りてこないように、僕は2階のふすまに外から突っ張り棒をするようにしていた。
「あっ……猫、飼ってるんですよね。ごめんなさい」
「そういうことですか! 可愛いー! 黒猫ちゃんだ!」
「そうなんですよ」
「誰から譲渡してもらったんですか? 黒猫ちゃん」
「いや、実はですね……そこにいたんです」
僕はドアのすぐ外を指さす。
「掃除してたら……あそこでずっと鳴いてるんですよ」
「へぇ……そうだったんですか」
「はい。にゃーにゃー鳴いてて。いきなり2階に上がっちゃんです。それで」
「すっごい縁じゃないですか……」
「そうですかね?」
「そうですよ!」
松野さんは身を乗り出し、目は爛々と輝いている。
「きっと斎藤さんの事、好きなんだと思いますよ!」
「……そうですかねぇ」
「ね? 黒猫ちゃん?」
松野さんがにゃーちゃんに向かって言うと、にゃーちゃんは理解しているかのように「にゃあー」と返事をした。
「私がこのお店に出会えたのも……もしかすると黒猫ちゃんのお陰かも知れないですね」
「あぁ……なるほど」
「だって……斎藤さんが黒猫ちゃんのキャットタワーを買いに来てなかったら……あの日私、斎藤さんに会えてませんもんね」
松野さんはにゃーちゃんの方を向いて、にこりと笑った。にゃーちゃんもそれに応えるかのように「にゃー!」とまた鳴いた。



