ああ、と広がった納得とともにどこか理解できないものがじんわりと広がった。
外では太陽がぎこちなく光っている。
何百回も見たはずの私の部屋のベッド。隣には見慣れたはずなのに見慣れない白い勉強机が並んでいる。
「朝なのか」と理解した頭が途端にくるくると回転する。
「むぅ、いやだ!授業参観に来て!」
知らないようで知っている妹のすずりの泣き声が聞こえた。
原因なんて所詮すずりの小学校の授業参観と私のピアノのオーディションが重なったから「授業参観に来て!」て言ってるだけでしょ。
そもそも、私とすずりは一個も似てない。私は「天才型」って言われてばっかだしすずりは「妹型」としか言われない。
そのすずりが小学生ながら高校生の私に嫉妬してることなんて一目瞭然。
嫌々体を起こした私、垂水(たるみ)みりんは布団を綺麗に畳もうと体を起こす。けれどスマホが手元でうるさく鳴る。
それを宥めようとして私はスマホに手を触れた。
そこには全く見覚えのないアプリが並んでいて私が間に挟まれた何百回もの朝を知らないことが脳にじんわりとしみていく。
その「タイムカプセル DREAM」という知らないアプリからの通知はしつこかった。
そのアプリに手を触れると理解できない文章が私の脳を占めていった。