学校では、夏美の心はどこか穏やかだった。

友人たちと話すときも、心の奥にメランがいる安心感が、自然な笑顔を生んでいた。
放課後は誰にも邪魔されず、校庭の片隅でメランと一緒に過ごす時間もあった。

「ねえ、今日も星を見ようね」

「もちろんです」

帰宅後、夏美とメランは窓際に座って夕暮れの空を眺めた。
沈む太陽がオレンジ色に染める空に、長く伸びる影。

メランは肩の上で丸まり、夏美の膝に頭をのせる。

「願いを叶えてもらったからって、何か変わったわけじゃないね」

「変わらなくてもいいのです。大切なのは、今こうして一緒にいることです」

その言葉に、夏美は静かに頷いた。
願いは叶ったけれど、変わったのは二人の心の在り方だけ。

互いに信じ、互いを思いやる気持ちが、日常をより温かくしていた。