朝の光が優しく差し込む部屋で、夏美は目を覚ました。

隣には、いつものように丸くなって眠るメランがいる。

「おはよう、メラン」

「おはようございます、夏美」

小さく声を交わすだけで、部屋は温かい空気で満たされる。
願いを叶えたあの日以来、二人の関係は魔法以上のものになっていた。

友情と信頼が、日常のすべてに溶け込んでいるのだ。

朝食の時間、夏美はトーストにジャムを塗りながら、メランの毛を撫でた。

「今日は晴れだね、学校行く前に少し外に出ようか」

メランは軽やかに尻尾を振る。
いつもは黒い毛に隠れて見えなかった瞳の輝きが、朝日に照らされて一層鮮やかに輝いていた。

庭に出ると、雨上がりの空気がまだ湿っている。
水たまりに映る光を見つめながら、メランは静かに歩き、時折夏美の手にすり寄る。

「メラン、こうして一緒にいられるって、すごく幸せだね」

「はい。夏美と過ごす時間が、私にとっても一番大切です」

その言葉に夏美は思わず微笑む。
願いを叶えた結果、こうして日常の小さな奇跡を一緒に感じられることが何よりも嬉しかった。