「おい、それ寄越せよー」

「やめて!!…きゃっ!」

ビボ爪を立て、穏やかな表情で眠る白い長毛のメス猫の首に付けられたリボンを奪った。

ビボは首に付けられた首輪が羨ましかった。

それは愛の証だから。

(憎たらしかった、俺様は愛されては居ないから)

だからビボは首輪を付けた猫から首輪を奪い、壊して、奴隷のように扱き使ってから首輪を返却した。

奴らの絶望に包まれた表情はほんの少しだけビボの心を晴れやかにさせた。





そんなある日、ビボは一族の長に呼び出された。

「来たかの、ビボ」


「…んだよ、ジジイ」

「ビボ、お前さんに関する苦情が沢山わしの所に届いておるんじゃが…どういう意味か分かるな?」

「だから何だよ?」

「ビボ!お前はいつまでも仕事は手を抜き、他猫の思い出の品も破壊し、奴隷のように扱い尊厳を傷付けた。その罰は受けて貰わねばならん」

「だから何だってんだ…」

「口答えするな!長の前だぞ!」

長の回りに居た家来に剣を向けられる。

「お主には今後、郵便配達員として一生涯働いてその罪を償い他猫から認められればその罪は償われたと判断しよう」

「…」

村の長であるビボの父親とその周りの家来達はビボを睨みつけ制圧する。

ビボは口答えする気も失せ、ビボは応えた。

「荷物届けりゃ良いんだろ?!やってやるよ」

だが、ビボはそう応えたことをすぐさま後悔することになるとはつゆ知らずに…