終業ベルが鳴ると誰よりも早く俺は教室を出た。
 廊下は走らず、でも出来るだけ速足で、あの門を出てバスに乗らねば。

「急げ!晴矢!お前の足なら間に合う!」

 漫画のセリフのような掛け声を投げてくるのは小学校から高校三年の今まで唯一の幼馴染であるブチこと田淵学だ。

 俺は階段を二段飛びで駆け降りる。
 大丈夫、絶対に行かせない。

 手島良樹。
 大好きなあいつを絶対に離さない。