夜の8時。黒猫ちゃんが来る時間。
猫カフェでお姉さんの話を聞いて……わたしの中にはいくつか疑問があった。
(あの黒猫ちゃん……野良猫なのかなぁ?)
わたしのすぐ前まで来てくれた時。頭をなでなでさせてくれた時。黒い毛は艶々でふっさふさだった。
(……きっと誰かがお家で飼ってるんだよね)
もし誰かが飼っているのなら、そのまま逃げだしたりしないのかな……お母さんには聞けない疑問。お姉さんに聞けば良かったなと少し後悔した。
(あ、そろそろ来る時間……)
晩ご飯はカレーだったから……またお肉はない。あれほどお母さんに、お肉かお刺身にしてって言ったのに。
……カチャリ
静かに窓の鍵を開けて、わたしはスタンバイをする。
「なあ」
「……うわあ!!」
いきなりお兄ちゃんが話かけてきた。あまりにビックリして声を上げてしまう。
「……何よ。……驚かさないでよね……」
「猫カフェ。楽しかった?」
(……はぁ?)
こういうところがお兄ちゃんだなと思った。さっきみんながいるところで聞けば良いのにさ……ほんとは行きたかったくせに……
「楽しかったよ?」
「……良いなぁ」
「次、行けば良いじゃん! またお母さんに頼んでみる」
「そうだな……次は俺も行こ」
「……あっ、来た……!」
黒猫ちゃんが、いつものようにふらふらと歩きながら近づいてくる。
(えっ……? いつもとちょっと様子が違う?)
「何か……ちょっといつもと違う……」
「ん? そうか?」
お兄ちゃんは毎日見てないから、黒猫ちゃんの違いに気付いていない。だてにわたしは毎日見てない。
「もしかして……怪我してるのかな」
「えっ? 怪我? 暗くて分からないけど」
「わたしは毎日見てるから。分かるんだよ」
窓を静かに開けて、ゆっくりしゃがみ込む。黒猫ちゃんはわたしの方に向かって静かに向かってきた。
「こんばんは……」
小声で話かけるけど、何も返事をしてくれない。
「こんばんはぁ……大丈夫?」
少し体を左右に揺らしながら、わたしのところまで来た。でも1メートルくらい距離を開けてる。
「ね、あなた……怪我してるの?」
「……」
「ごめん。今日……ご飯、ないんだよ」
「……」
しばらくじっとわたしを見つめた後、黒猫ちゃんはどこかへ歩いて行く。仕方ないので、わたしも部屋へと戻ることにした。
「なぁ、スゴイな! 猫がすぐそばで来たじゃんか!」
「……いつもやってるよ」
「そうなんだ! 良いなぁー……俺も近づきたい」
「……平和だよね。お兄ちゃんは」
「何だよ。……で? どうだった?」
「どうだったって? 何が」
「怪我だよ。してそうだった?」
「……たぶん」
(……どうしよう)
きっと黒猫ちゃんは怪我をしている。だって歩き方が変だったもん。いつもと全然違う……。お母さんに言ったら病院連れてってくれるかな……でも、誰かのお家の猫ちゃんかも知れない。
わたしは悩んだ。
でも、決めた。
猫カフェでお姉さんの話を聞いて……わたしの中にはいくつか疑問があった。
(あの黒猫ちゃん……野良猫なのかなぁ?)
わたしのすぐ前まで来てくれた時。頭をなでなでさせてくれた時。黒い毛は艶々でふっさふさだった。
(……きっと誰かがお家で飼ってるんだよね)
もし誰かが飼っているのなら、そのまま逃げだしたりしないのかな……お母さんには聞けない疑問。お姉さんに聞けば良かったなと少し後悔した。
(あ、そろそろ来る時間……)
晩ご飯はカレーだったから……またお肉はない。あれほどお母さんに、お肉かお刺身にしてって言ったのに。
……カチャリ
静かに窓の鍵を開けて、わたしはスタンバイをする。
「なあ」
「……うわあ!!」
いきなりお兄ちゃんが話かけてきた。あまりにビックリして声を上げてしまう。
「……何よ。……驚かさないでよね……」
「猫カフェ。楽しかった?」
(……はぁ?)
こういうところがお兄ちゃんだなと思った。さっきみんながいるところで聞けば良いのにさ……ほんとは行きたかったくせに……
「楽しかったよ?」
「……良いなぁ」
「次、行けば良いじゃん! またお母さんに頼んでみる」
「そうだな……次は俺も行こ」
「……あっ、来た……!」
黒猫ちゃんが、いつものようにふらふらと歩きながら近づいてくる。
(えっ……? いつもとちょっと様子が違う?)
「何か……ちょっといつもと違う……」
「ん? そうか?」
お兄ちゃんは毎日見てないから、黒猫ちゃんの違いに気付いていない。だてにわたしは毎日見てない。
「もしかして……怪我してるのかな」
「えっ? 怪我? 暗くて分からないけど」
「わたしは毎日見てるから。分かるんだよ」
窓を静かに開けて、ゆっくりしゃがみ込む。黒猫ちゃんはわたしの方に向かって静かに向かってきた。
「こんばんは……」
小声で話かけるけど、何も返事をしてくれない。
「こんばんはぁ……大丈夫?」
少し体を左右に揺らしながら、わたしのところまで来た。でも1メートルくらい距離を開けてる。
「ね、あなた……怪我してるの?」
「……」
「ごめん。今日……ご飯、ないんだよ」
「……」
しばらくじっとわたしを見つめた後、黒猫ちゃんはどこかへ歩いて行く。仕方ないので、わたしも部屋へと戻ることにした。
「なぁ、スゴイな! 猫がすぐそばで来たじゃんか!」
「……いつもやってるよ」
「そうなんだ! 良いなぁー……俺も近づきたい」
「……平和だよね。お兄ちゃんは」
「何だよ。……で? どうだった?」
「どうだったって? 何が」
「怪我だよ。してそうだった?」
「……たぶん」
(……どうしよう)
きっと黒猫ちゃんは怪我をしている。だって歩き方が変だったもん。いつもと全然違う……。お母さんに言ったら病院連れてってくれるかな……でも、誰かのお家の猫ちゃんかも知れない。
わたしは悩んだ。
でも、決めた。



