黄昏時、真っ暗闇より薄暗くて、ほんの少し明るい影を伸ばす君の背中。
その背中には、黄昏にしか会えない。
だから、もしかしたら幽霊なんじゃないかって、本当は思っていたんだ。
空の色が薄らとぼやけている。
春の空は淡い水色に淡い雲が浮かぶ。棚引く雲の隙間に浮かぶ水色は湿気を含んで見える。
夏に向かうにつれ、湿気が消えて、空の色がはっきりと青くなる。
そういう変化を眺めるのが、夏希は好きだ。
もっとも、そういう趣味はあまり周囲には理解されない。
アイツ、ぼーっとしてんな。としか思われない。
「夏希ぃ! 隣の公園に来てるキッチンカーのクレープ、食べに行かねぇ?」
後ろからかかった声に、俺は怠そうに振り返った。
「ごめん、パス。お腹空いてない。あと、用事ある」
「なんだよ、ノリ悪ぃなぁ。時々には来いよ」
ポンポンを頭を撫でられて、ちょっと不快になる。
中学から一緒の東野健太は明るくて、常に元気で、夏希に言わせれば鬱陶しい。
愛想よくしているつもりもないのに絡んでくるから、余計に面倒くさい。
「時々には行くよ。今日は本当に用事があるんだ」
遠くの空を眺めながら、呟くように適当に返事した。
「ふぅん。わかった。じゃ、またな」
思ったよりあっさり諦めて、健太が友達の元に戻った。
「早く行こうよ、健太。つか、なんでいつも鳴瀬君、誘うの?」
友達らしい女子に聞かれている質問は、もっともだ。
俺だって同じように不思議に思う。
「中学からの腐れ縁、だっけ? 誘っても絶対来ねぇじゃん」
もう一人の友達らしい男子が健太に問い掛ける。
知らない顔だから、他のクラスなんだろう。
「絶対じゃねぇよ。時々には遊んでるぜ。何回も誘わねぇと夏希の気が向かないだけ」
「何それ。そこまでして誘う意味ある?」
「健太、友達多いんだから、構わなくていんじゃね?」
全くその通りだ。
陽キャの健太がわざわざ、陰キャと言われている俺に声をかけてくる理由が知れない。
「俺が構いてぇの。話してぇだけ」
「一人でいるの、可哀想的な?」
「鳴瀬ってカースト最下位の陰キャじゃん。相手にする意味ないって」
そんな話をしながら、健太が取り巻きの友達と教室を出て行った。
(カーストとか、興味ないけどな。他人にどう思われようと構わないけど、そういうの面倒くさい)
小さく息を吐く。また姿を観ないで済むように、時間を空けて教室を出た。
その背中には、黄昏にしか会えない。
だから、もしかしたら幽霊なんじゃないかって、本当は思っていたんだ。
空の色が薄らとぼやけている。
春の空は淡い水色に淡い雲が浮かぶ。棚引く雲の隙間に浮かぶ水色は湿気を含んで見える。
夏に向かうにつれ、湿気が消えて、空の色がはっきりと青くなる。
そういう変化を眺めるのが、夏希は好きだ。
もっとも、そういう趣味はあまり周囲には理解されない。
アイツ、ぼーっとしてんな。としか思われない。
「夏希ぃ! 隣の公園に来てるキッチンカーのクレープ、食べに行かねぇ?」
後ろからかかった声に、俺は怠そうに振り返った。
「ごめん、パス。お腹空いてない。あと、用事ある」
「なんだよ、ノリ悪ぃなぁ。時々には来いよ」
ポンポンを頭を撫でられて、ちょっと不快になる。
中学から一緒の東野健太は明るくて、常に元気で、夏希に言わせれば鬱陶しい。
愛想よくしているつもりもないのに絡んでくるから、余計に面倒くさい。
「時々には行くよ。今日は本当に用事があるんだ」
遠くの空を眺めながら、呟くように適当に返事した。
「ふぅん。わかった。じゃ、またな」
思ったよりあっさり諦めて、健太が友達の元に戻った。
「早く行こうよ、健太。つか、なんでいつも鳴瀬君、誘うの?」
友達らしい女子に聞かれている質問は、もっともだ。
俺だって同じように不思議に思う。
「中学からの腐れ縁、だっけ? 誘っても絶対来ねぇじゃん」
もう一人の友達らしい男子が健太に問い掛ける。
知らない顔だから、他のクラスなんだろう。
「絶対じゃねぇよ。時々には遊んでるぜ。何回も誘わねぇと夏希の気が向かないだけ」
「何それ。そこまでして誘う意味ある?」
「健太、友達多いんだから、構わなくていんじゃね?」
全くその通りだ。
陽キャの健太がわざわざ、陰キャと言われている俺に声をかけてくる理由が知れない。
「俺が構いてぇの。話してぇだけ」
「一人でいるの、可哀想的な?」
「鳴瀬ってカースト最下位の陰キャじゃん。相手にする意味ないって」
そんな話をしながら、健太が取り巻きの友達と教室を出て行った。
(カーストとか、興味ないけどな。他人にどう思われようと構わないけど、そういうの面倒くさい)
小さく息を吐く。また姿を観ないで済むように、時間を空けて教室を出た。

