騒がしい人の喧騒を抜けて、
オープンガーデンから

二花と蕾が花琴宮に帰ってくる。

秋に漂う汐の波音がして、
紅葉が水面に揺れる。

…花琴宮の本殿の奥…

〈 午前 猫 0 時 〉

…鎌足が二花を起こして、魔女を呼ぶ。

「…時間が来たよ。」

二花が眠気眼をこすって、
夢の中からやって来た。

…魔法がとけて、子どもに戻っている…。

「…僕、誰にも言ってないよ。」

うとうとしながら二花は言った。

「…そうだね。」

魔女が魔法の杖を振って言った。

「…約束通り、蕾は持っておゆき。」

「…うん。」

魔法が切れて、子どもに戻った二花が
蕾と結婚した夢をみたことを想い出す。

「…蕾、結婚しよう!」

「…うん!二花!!」

「…結婚する!」

…蕾と二花が手を取り合って、
抱き合って、喜んだ。

「…夢を、みたの。」

「…二花と結婚する夢!」

猫がにゃ‐おんと鳴いて、
魔女が魔法をかける。

ウェディングドレス姿の蕾が
ふわりと大人になった二花に

抱きしめられる。

たくさんの猫に囲まれるパーティーで
君に花束を届けて、甘いkissをする…。

猫神様がくれた夢の箱を
大切に胸に秘めて、子どもの二花が笑った。

……                      ……
 …                      …