異世界から帰った勇者アレスは母校の医学部棟にある図書室に足を運んでいた。
 すると棚に変わったタイトルの英文本が置いてあった。分厚い本だ。

 どれどれ、発行は……英国アカデミー。えらい省庁が出した本だな。
 パラパラとめくってみると、いつしか専門外の本なのにのめり込んでいた。

「こ、これは面白い! せっかくだから紹介してみよう」

 彼は臨時で講座を任されており、いいネタが出来たとまさかの医学部で披露してしまった。
 異世界帰りの彼にとっては学生たちの前で90分間も専門を講義するというのが性に合わず、
 こういったネタを話すのが好きだった。

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爬虫類⇒哺乳類:合体生命体

魚類⇒両生類の間にあるのがシーラカンスだったとすると、
爬虫類と哺乳類の間にあるのはどんな動物でしょう?
現在、そんなのがいるのでしょうか?

爬虫類⇒哺乳類の怪物捕獲騒動

進化のハザマにある生物・生きた化石がシーラカンスだけと思われているせいか、
”どうも●●の生き残りの可能性がある”とか唱えますと「科学音痴」とか、
「無知」とかバカにされてしまう傾向があります。

大変困った傾向です。

ネッシーなどを「居るわけないじゃないか」と断定する人は多いです。
では「爬虫類の体を持ち、卵を生み、哺乳類の体を持つ」生命体を、
どう思われるでしょうか?

やっぱり、見間違い、ウソなどで片付いちゃうのかなぁ。

▲今回紹介する動物はTV番組「クイズ!ヘキサゴン」にて、
東京・新橋の社会人に写真を見せたところ、
名前の正解率は何と23%しかなかったとのこと。

それなら、更にこの記事で述べているある事を知っている社会人は、
ほとんど居ないでしょう。

コレ使えますぜ、読者のみなさん。

ネッシーなど未確認動物の存在を否定する人は大変多いです。
「現行の動物ですら知らないのに否定するとは何事ですか~」と友人知人にどうぞ。

つまり”知らない事が多い”ことを自覚していない方が大多数なのです(”無知の知”)。

(シーラカンスが発見される前の時代です)

発見!!!合体生命体

イギリスの植民地だった野生の王国オーストラリア。
そのオーストラリアから大英博物館へ、毛皮にクチバシ付きのUMAが送られてきました。
手足にはミズカキが付いています。鳥にしては、羽がありません。

羽の無いトリ、羽の代わりにミズカキ。クチバシはアヒルのような感じです。
レポートには、卵を産むUMAとしています。

学者
「オイオイ、えらく上手く出来た贋物だなぁ。そこのキミ、ハサミ。
めでたく合体生物(笑)として処理されました。

しかしその後1802年、さらに剥製まで送られて来ました。それを調べた学者は…

・爬虫類的な構造がある
・哺乳類的な構造がある
・鳥類的な構造がある
・ミズカキがある
・カワウソのシッポがある
・クチバシがある
・約2cmのタマゴを産む
・なんとなく可愛い

わけ分かりませんでした。

結局、シーラカンスと同じ様に、世間様はスルー状態でした。
良い感触を感じて昇進も期待していたオーストラリアの当の司令官は言いました。

司令
「一生懸命UMAを送っているのに、否定派はオレをバカにしとるのか!!!」

部下
「司令!!!あのヘンなUMAを捕らえようとして、隊員の一人が倒れました。
毒みたいなものにやられたようです。」

・毒も持っている

なんとなく爬虫類⇒哺乳類の中間的な感じであり、更に、毒も持っているという怪物。
一体何なのでしょうか?

ついでにクチバシは、虫などを食べてすり潰すように(やや柔らかく)出来ているそうです。
優しい感じですね。

学名:Orinihorhynchus anatinus

英名:Platypusプラティプス

哺乳類(単孔類)……この類似物は「エチヅナ」という動物2種のみ。

体長60cm程度

6万5千年前に出現クラス

水辺に穴家を作って棲んでいる

さて、この動物の正体は何でしょう!?

1923年、そのUMAの保護法が出来ました。



ミズカキとクチバシを持つカモノハシ(可愛いゾ)

後ろ足に毒腺があるので、
敵に後ろから襲われた場合に有効のようです。

上の写真のように持つ時は、丁寧にすれば大人しく、
人にも慣れ易いとか。

サイテス1種:取引禁止でペットに出来ないから注意。
寿命は10年ほどだそうです。

結局、生きたカモノハシを調査して分かった衝撃的な事は、

体温が一般哺乳類より低いことでした。

これは結構重要です。

結局、爬虫類から哺乳類に進化した中間の生命体
(だから体温が低いのだ)
特殊な生活環境の中でなんとか生き延びた生きた化石として、
現在も調査が進められています。

毒持ってたこと、みなさん知らなかったでしょう?

最初の頃で書いた「そこのキミ、ハサミ」で付けた痕跡が、
大英博物館の標本に今も残っているという……。

(実は本当らしいby河出書房新社・びっくりデータ情報部編「こんなトンデモ生物が実在する」)

結局、UMAが発見されてから認定(認知)されるまでには
物凄く時間が掛かるんだよね。

日本に居ないかなぁ……(ボソリ)


一方、掌を返したアカデミーでは

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“歴史上最短の学会発表”は、
イギリスの生物学者が学会会場へ電報で送った
「カモノハシは卵生、胚は盤割」というもの。

って話があったんですが、
元本を見つけられませんでした。

まさぞう先生=医師=より
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見事、カモノハシ君は最優先事項の扱いになりました。

<問題>

さて、更にクイズです。毒を持っているのはオスメスどっち?
どうして性別で偏って(かたよって)るのかな?
必要性を述べよう。生活史を調べてみると分かるかもね。

カモノハシおしまい


↓カモフラージュ用・作者手書きのとても可愛いイラスト!