「初めて会った日の私に何か言えるとしたら？」
　唐突に、君が不思議なことを訊いてきた。僕は少し考えて、答える。
「泣いてくれててありがとう、かな？」
「ぎゃん泣きしてたのに？ ︎君、案外酷いね」
　不服そうに、君は唇を尖らせた。僕は心中で小さく笑う。
　だって、あの泣き顔を見て惚れたから。