春の朝、平安の庭には柔らかな日差しが差し込んでいた。
白無垢姿の花嫁姿から月日が流れ、今では晴明と咲妃の小さな家族がそこにいた。
「母上!見てー!」
元気いっぱいの声が廊下に響く。5歳の時雨が、木製の小さな刀を振りかざし、得意気に立っている。
咲妃は洗い物を置き、にこやかに微笑む。
「時雨、刀はまだおもちゃでしょう?危ないわよ。」
時雨は舌を出して、「母上は弱すぎる!」と叫ぶ。
咲妃は顔を赤らめつつ、「誰が弱いってー?!」と反論する。
その様子を、庭の縁側から晴明が見守っていた。
髪は少し伸び、あの頃と変わらぬ凛々しさで、穏やかな微笑みを浮かべる。
時雨のやり取りを見て、晴明は肩を震わせて笑った。



