ふと、庭の奥から静かに足音が近づく。
 振り返ると、いつも凛とした白い装束をまとった晴明が、ゆっくりと現れた。
 陽光に照らされたその姿は、昼の光に負けないほど美しく、咲妃の心臓は高鳴る。

 晴明は咲妃を見つめ、歩みを止めた。
 そして、咲妃のすぐ前に立ち、低く囁いた。

 「咲妃、この世で一番美しいな。」

咲妃は思わず両手を胸にあて、顔を赤くしながら笑った。

 「もう、晴明さん……一段と恥ずかしいこと言いますね。前より磨きがかかってます。」

 晴明は、微かに笑みを浮かべ、咲妃の手をそっと取った。
 その手の温もりに、咲妃は心まで温かくなるのを感じた。

 式神たちが優雅に舞い、庭には桜の花びらがひらひらと舞い落ちる中、二人は静かに誓いを交わした。