そのとき、庭の方から賑やかな声が響いた。
「晴明、団子を持ってきたぞ――って、なっ!? 咲妃殿の妖か!? 目を覚ませ、晴明!!」
現れたのは、いつもの博雅だった。
両手に団子を持ったまま、驚愕の表情を浮かべている。
「もうっ!本物ですよ、博雅さん!」
咲妃が笑って手を振ると、博雅は目を丸くして叫んだ。
「ほ、本物の咲妃殿であったか……!よかったっ……! 本当にっ……!!」
涙をこぼしながら笑う博雅を見て、晴明も静かに微笑む。
その空の下では、式神たちが次々と姿を現し、
二人の再会を祝福するかのように空を舞っていた。
光と風と笑顔が満ちる庭。
それは、幾千の時を越えても変わらぬ絆の証だった。



