日差しが傾き始めた頃、咲妃はようやく見覚えのある屋敷の前に辿り着いた。
門構えは少し古びていたが、あの頃と何ひとつ変わらぬ風情があった。
静かな風が木々を揺らし、竹の葉がさやさやと音を立てている。
胸の奥がきゅっと熱くなり、咲妃はそっと深呼吸をした。
――帰ってきた。やっと、ここまで。
ぎぃ、と音を立てて門を押し開く。
庭には懐かしい気配が漂っていた。
淡い光が揺れ、空気が優しく震えている。
その光の中に、見覚えのある羽根が煌めいた。
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