――まぶしい光が差していた。

 ゆっくりと目を開けると、頬を撫でるのは柔らかな風。


 空は限りなく澄み渡った青。遠くでは鳥の鳴き声が響いていた。


 「……え……ここ、どこ?」


 手のひらに触れるのは、温かな土の感触。


 辺りを見渡すと、藁葺き屋根の家々、行き交う人々――


 彼らは皆、着物姿で、ゆったりとした時の流れの中に生きていた。


咲妃は、はっと息をのむ。

 「……えっ……うそ……これって……」


 見覚えのある景色だった。

 あの、初めて安倍晴明と出会った――平安の都。