班行動で友人たちと別れた咲妃は、一人で目的地へ向かった。


 そこは——晴明神社。


 鳥居をくぐると、秋風がふわりと吹いた。


 鈴の音が微かに鳴り、どこか懐かしい匂いがした。

 境内の壁には、安倍晴明の生涯が絵巻のように展示されていた。


 その前で足を止め、咲妃は静かに見入った。

 「……本当に、いたんだよね……晴明さん。」



ふと、背後から声をかけられた。

 「お嬢さん、安倍晴明にご興味があるのですか?」

 神主の男性が穏やかに微笑んでいた。

 「今ちょうど、晴明公の遺品展が近くの資料館で開かれておりましてね。もしよければ、ご覧になっては?」

 咲妃は小さく頷き、教えられた道を歩いた。