夜明け前の空が、ゆっくりと白んでいく。


 長き戦いの末、道満は遂に討たれた。

 荒れ果てた戦場には、まだ薄く煙が漂っている。


 風が吹き抜け、血の匂いと共に、どこか懐かしい香が混じっていた。



 安倍晴明は、ゆっくりと立ち上がった。


 衣の裾が土にまみれ、額には汗が光る。


 その横で、源博雅が息を整えながら声をかけた。


 「……晴明、無事か?」