咲妃の瞳が大きく見開かれ、そしてゆっくりと閉じていく。
光が身体を包み、輪郭が霞みはじめた。
「咲妃……!」
晴明は叫び、咲妃の頬を両手で包み込む。
咲妃は穏やかな微笑を浮かべて、そっと言った。
「ありがとう……晴明さん……」
次の瞬間、咲妃の身体は無数の光の粒となり、空へと昇っていった。
淡く、儚く、けれど確かに美しく。
晴明はその光を見上げながら、震える声で誓う。
「たとえ、この身が滅びようとも……千年の時が過ぎようとも……我は、咲妃を想い続ける。」
手の中には、咲妃が残した古びた札が握られていた。
その瞬間、雷鳴が轟く。
晴明の瞳が静かに怒りに染まる。
「お前は我の手で滅ぼす。——蘆屋道満っ!!」
道満は嗤った。
「惜しい娘を失くしたな、晴明。しかし、これで邪魔者はいなくなった。」
晴明はゆっくりと立ち上がり、印を組む。
空気が張り詰め、地が唸りを上げる。
「我が命に代えても、貴様を封じる。これは、咲妃への……誓いだ!!」
雷鳴が轟き、天地が裂ける。
金と闇の光が交差し、戦いは再び始まった。



