雷鳴が轟き、天地を裂くような光が空を奔った。


 安倍晴明と蘆屋道満――陰陽師として最強の二人の戦いは、最終局面を迎えていた。

 咲妃は、茂みの中からその光景を息を呑んで見つめていた。


 風が渦を巻き、地が震える。空には幾重もの呪の陣が浮かび上がり、赤と金の光がぶつかり合っている。

 「……すごい……これが、本当の、陰陽師の戦い……!」


 恐怖よりも、圧倒される想いが咲妃の胸を支配していた。


 だが次の瞬間、道満の不気味な笑いが空気を裂いた。


「終いだ、晴明!!!」

 放たれた黒紫の刃のような術が、一直線に晴明を襲う。


 晴明はすぐに印を組んだが、疲労の色は濃く、その動きがわずかに遅れた。

 「晴明さん! 危ない——っ!」


 咲妃は気づけば走り出していた。

 考えるよりも先に身体が動いた。


 そして——。