「お前は未来から来たのであろう?この時、この瞬間を我は待っていたのだ。
 我が花嫁となり、力となり、血肉となれ――」

 大きな手が咲妃の首を掴む。

息が詰まり、咲妃の目に恐怖の涙が浮かぶ。

 「やだ…!晴明さんが、そんな事させない!絶対に!」

 必死に手足をもがく咲妃。

 道満は不気味に笑い、首をゆっくり締めながら言う。

「面白い…なかなか度胸のある娘だ。だが、安倍晴明は我の手で死ぬのだ!」

 咲妃の視界がかすみ、恐怖で涙が止まらない。


 その瞬間、道満は急に手を離した。

雷鳴が屋敷を揺らし、空気が震える。

 咲妃はむせ込み、肺に新しい空気が入るのを感じた。