昼過ぎ、晴明が依頼のお祓いを終えて屋敷に戻ってきた。

縁側を通りかかると、額に汗を浮かべうつらうつらしている咲妃の姿が目に入る。


 「咲妃。顔色が些か悪くないか?」

 「えっと…少し寝不足なのでちょっと。」

 素っ気なく答えてしまう咲妃。

内心、冷たい言い方をしてしまったかと不安になるが、腹の痛みでそれどころではない。


咲妃はそのまま寝室で夕方まで寝ていた。時折、腹痛に耐えきれず額の汗が止まらない。


 「咲妃?開けてもよいか?」


 晴明がそっと襖の前で声をかける。咲妃は布団にくるまり、少し顔を赤らめながら返す。

 「ごめんなさい…夕餉までには行きますから、そっとしておいてっ。」

 しかし、その声は苦しさで少し震えていた。

晴明はすぐにその異変に気づき、慌てて襖を開けた。