とある日、咲妃は布団にくるまりながら、額に汗を浮かべてうずくまっていた。平安に来てから初めてのことだった――月のものだ。腹の痛みに顔をしかめ、思わず小さく呻く。
「うぅ…痛い…どうしよう…」
そんなとき、縁側の戸が静かに開き、団子屋の友達・お清ちゃんが顔を出した。
「こんにちは、咲妃さーん、
って、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ!?」
お清ちゃんは心配して声をかけ、そっと布団に近づいた。咲妃は胸の中でほっと息を吐く。
「えっと…ちょっと初めてで、どうしたらいいか分からなくて…」
お清ちゃんは手慣れた様子で、布の替え方や整え方を教えてくれた。
咲妃は少しずつ痛みを和らげながら、やっと安堵の笑みを浮かべる。
だが、晴明には知られたくない――咲妃はそう思い、なるべく平静を装おうとした。



