咲妃はお清と一緒に、平安の街へ初めて外出することになった。

 「咲妃さん、今日は町を案内しますね〜!」

 咲妃は少し緊張しつつも、楽しそうに笑った。

しかし心の片隅には、屋敷での晴明の素っ気ない態度が浮かび、少し落ち込んでいた。


 「やっぱり、私なんて…」



その気まずい沈黙に、お清はすぐ気づき、優しく肩に手を置いた。

 「咲妃さん、晴明様はきっと慕っておりますよ?」

 咲妃は思わず顔を真っ赤にして、首を振った。

 「ぜったいないよ!」

 お清は楽しそうに笑いながら、少し目を細める。

 「そうですか?あの顔は間違いなく……咲妃さんを想っている、お顔でしたよ?」