帝はしばらく咲妃を見つめ、興味深げに微笑む。

「咲妃殿、未来から来たとは誠か?」

 咲妃は胸を高鳴らせながら、うなずいた。


「はい、左様でございます。」



 帝は頬に柔らかい笑みを浮かべる。


「先の世には、こんなにも可愛らしい娘がおるのか……」


 咲妃は少し顔を赤らめ、冷や汗が頬を伝う。


「未来に帰る気がないのなら、咲妃殿に我の側室となってほしいものだが……」


その瞬間、屋敷の空気がピシッと変わった。
咲妃は晴明の鋭い視線を感じ、彼が静かに怒っていることがわかった。

 咲妃は心臓が飛び出そうになるのを感じながら、頭の中で必死に返事を考える。

「えっと……あの……」

 すると晴明が、低く落ち着いた声で話した。

「帝様、咲妃殿には未来に大切な家族がおいでです。その思いをどうか汲み取っていただけませんでしょうか。」