翌日、咲妃はお清に手伝われながら、綺麗に仕立てられた着物に身を包んだ。 庭に並ぶ家来たちの視線が緊張を増幅させる。 広大な屋敷に着くと、長い暖簾のような掛け物の奥に、顔は見えぬ帝の姿があった。 「よく着た、晴明。東雲咲妃殿。」 晴明はいつもと違う、静かで厳かな空気を纏い、咲妃の手を取り少し前に出た。 咲妃は小さくお辞儀をしながら、声を震わせて言った。 「はい、初にお目にかかります。咲妃にございます。」