咲妃は、胸がぎゅっと締め付けられるのを感じた。 晴明と出会ったとき、彼が「帝が好みそうな顔だ」と冗談混じりに言っていた言葉を思い出す。 あれは冗談ではなく、本当にそう思われていたのかも……と不安になる。 博雅は立ち上がり、にっこりと微笑んだ。 「案ずるな咲妃殿、晴明に相談しておく。」 そう言って、博雅は静かに去っていった。 咲妃は肩に力を入れながら、帝がどのような人物か想像できずに不安を募らせていた。