咲妃は耳を押さえ、顔を赤くしてびっくりする。

「え!?」

 博雅はいたずらっぽく笑った。

「おや、そなたも……満更ではなさそうだな?」

 咲妃はその言葉にますます赤くなり、机の下でそっと手を握りしめた。

心臓がドキドキと早鐘を打つ。

 数日後、晴明に依頼が舞い込む。

「咲妃、今日は屋敷で待つのだぞ。」

しかし、咲妃は未来に帰る手がかりも探したくて、意を決して晴明の仕事に同行することにした。


 依頼先で、晴明が印を組み邪気を祓う姿に、咲妃は息をのむ。

「やっぱり晴明さん、本物だ……」心の中で呟き、思わず見とれてしまう。


 日が経つにつれ、咲妃は晴明への想いを自覚し始めていた。
未来に戻ることよりも、ここで晴明と過ごす時間の方が大切に思えてきていたのだ。