「おぃ、晴明っー!」

屋敷の案内が終わる頃、ドタドタと賑やかな足音が聞こえた。


 豪奢な廊下を駆け抜けて現れたのは、晴明の友人――源 博雅(ミナモトノ ヒロマサ)だった。


「なんだ、妖ではなくただの奇妙な身なりをした女子ではないか!」


 笑いながら咲妃を見下ろす博雅に、咲妃は目を輝かせた。


「もしかして……源 博雅さん?! 信じてくれるんですか!」

「おや、名前を知っておるのか?」

 博雅が首をかしげると、咲妃はくすくす笑いながら答える。

「未来の本に乗ってます。博雅さん、有名人ですから。」

 その言葉に、晴明も博雅も互いに顔を見合わせ、目を丸くした。

「ほう……未来だと……?」

 晴明は真剣な顔になり、咲妃に歩み寄った。