気づけば晴明の屋敷へと歩かされていた。
屋敷に足を踏み入れた咲妃は、目を見張った。
広い庭に、そしてその奥に――十二匹もの式神が整列している。
狐のような姿、龍のような姿、鳥のような姿……どれも不思議な光を放っていて、咲妃の視線は釘付けになった。
「な、なにあれ……全部……動いてる……?」
思わず小声で呟く咲妃に、晴明は振り返って意地悪く笑う。
「ほぅ、そなたには、よく見えるらしいな?」
その言葉に、咲妃は慌ててうつむく。
(見えるって……どういうこと……?)
晴明は朱雀――赤い炎のような式神を指差した。
「この朱雀がお主の見張り役。面倒は見てやるから、無闇に動くでないぞ。」
「え、はい……よろしくお願いします……?」
朱雀の鋭い瞳が咲妃をじっと見つめ、咲妃は思わず後ずさりする。
晴明はそんな彼女を見て、くすりと意地悪そうに笑った。
「はは……面白い女子じゃ。」



