そして晴明は周囲に向かってこう宣言した。



「帝に文を送り、暫く咲妃を預かる。」



 咲妃は思わず声を上げる。


「えぇぇ……!」


 晴明は意地悪そうに笑う。


「案ずるな、暫くはただの見張りだ。それとも、魑魅魍魎の餌となるか?」


 咲妃は顔を真っ青にして、冷や汗をたらたら流しながらも、作り笑顔で答える。


「いえいえ、晴明さんについていきます!」


 こうして、咲妃は晴明の屋敷に連れて行かれることになった。

 胸の奥には、小さな期待と、少しの不安が混ざった感情が芽生えていた。