「な、なにこれ……?映画村? 何処かの撮影所?」

 自分の声が少し震えていた。

 誰かのイタズラ? でも、そんな非現実的なこと……。

 頬を指でつねる。

「いったっ!」

 痛い。ちゃんと痛い。夢じゃない。

 そのとき、通りの向こうから、ざわざわとした声が聞こえた。

 数人の男たちが、こちらを指差している。

「見ろ、あれ……奇妙な格好をしておるぞ!」

「妖だっ、妖が出たぞ!」