「朱雀!やめろー!」と時雨が大声を出す。

 晴明は思わず笑いながら、「光る式神には勝てぬか……」とため息をついた。

 咲妃は、時雨と晴明を見つめながら心の中でつぶやく。

 「(やっぱり、私はこの二人といる毎日が、一……。)」

 そして、時雨を抱き寄せて笑う晴明の腕の中で、咲妃はそっと手を重ねた。

「晴明さん、幸せですね。」

 「うむ。咲妃、そして時雨がいる。」

 小さな家族は、笑い声と式神の羽音に包まれ、平安の春を優しく過ごしていった。


 これからも、どんな困難が訪れても、三人でなら乗り越えられる。


 そう確信しながら、咲妃は穏やかな幸せを胸に抱いていた。










Fin.