シャララと首の鈴を鳴らし、ぽてまろが一本のかんざしを咥えて差し出した。深みのある青い丸が、まるで宇宙のように三つ連なってぶら下がっている。
 おどおどとしながら、ナツメさんはかんざしを受け取った。

「ぽてまろ、いいアイデア! 私もナツメさんがいてくれたら心強いもん」

 得意ではないけど、ヘアアレンジはそれとなくできる。
 ナツメさんの髪をひとまとめにして、下の方でお団子に結い上げる。かんざしを刺したら完成だ。

『カフカ殿には、こちらを』

 キラキラと流れ星のように光って、私の前髪へ止まった。鏡に映ったのは、可愛らしい星空のような髪留めだった。

「ぽてサン、カフカさん。ふつつか者ですが、何卒、よろしくお願いします……!」
「こちらこそ、お願いします!」

 こうして、私は新たな仲間を見つけて、祖母の宿を引き継ぐことになった。
 お彼岸の七日間が終わったら、今後のことを考えるとして。まずは、今日、今この瞬間を頑張ると決めたのだ。

 玄関の方からカランと音がして、また一人誰かが尋ねてきた。ナツメさんと肩を並べて、合わせて小さくお辞儀をする。


「ようこそ、夢の架け橋なる【トキの庵】へ」

『ごゆっくりお休みくだされ』


                     fin.