今日はぼくの退院日。
事故に遭ってから初めて、前日の夜、あの猫と話した夜を朝まで覚えていたぼくは、そこから三年間の入院生活をした。
やっと回復して、毎日の記憶を重ねられるようになった。
それまでは、夜眠ると一日の記憶がすべてなくなってしまっていた。
「退院おめでとう、聖耶。」
「お母さん、ありがとう」
「これで迷子の心配せずにあの猫に会いに行けるんじゃない?」
「おおげさだよ」
あの夜。ぼくの一日を聞いてくれた一匹の猫。
あの一瞬のやり取りを朝覚えていた時のぼくと家族の喜びようはすごかった。
あの一瞬のやり取りを覚えていることがすべて希望になってぼくに残り続けている。
毎日を重ねられるようになって、一日一日があっという間に過ぎ去っていく。
君の記憶が、こんな足早に過ぎ去る日々の中の、大切な拠り所。
三年ぶりに家の玄関を開ける。
「ただいま」
「おかえり。今日はゆっくり休んでね、夜は何がいい?」
「やっぱりチキンかな」
「クリスマスだもんね、誕生日だし」
「そうだね…その前に、ちょっと」
「散歩?」
「うん」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
やっと、覚えていられる。君を。
事故に遭ってから初めて、前日の夜、あの猫と話した夜を朝まで覚えていたぼくは、そこから三年間の入院生活をした。
やっと回復して、毎日の記憶を重ねられるようになった。
それまでは、夜眠ると一日の記憶がすべてなくなってしまっていた。
「退院おめでとう、聖耶。」
「お母さん、ありがとう」
「これで迷子の心配せずにあの猫に会いに行けるんじゃない?」
「おおげさだよ」
あの夜。ぼくの一日を聞いてくれた一匹の猫。
あの一瞬のやり取りを朝覚えていた時のぼくと家族の喜びようはすごかった。
あの一瞬のやり取りを覚えていることがすべて希望になってぼくに残り続けている。
毎日を重ねられるようになって、一日一日があっという間に過ぎ去っていく。
君の記憶が、こんな足早に過ぎ去る日々の中の、大切な拠り所。
三年ぶりに家の玄関を開ける。
「ただいま」
「おかえり。今日はゆっくり休んでね、夜は何がいい?」
「やっぱりチキンかな」
「クリスマスだもんね、誕生日だし」
「そうだね…その前に、ちょっと」
「散歩?」
「うん」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
やっと、覚えていられる。君を。



