「住むところがないのなら、おばあちゃんの家を管理してもらえないかしら」
そう言ったのは、私の母だった。
「おばあちゃんの家?」
「ほら、お婆ちゃんが亡くなってから私も暇なときに掃除をしには行ってるけど私にもパートがあるから大変だし、かといって誰も掃除しないと荒れ放題になるじゃない?」
「はあ」
「だからあんたが住んで管理してほしいの。管理っていっても物はほとんど片付いてるし、軽く掃除する程度でいいから。ほら、取り壊すのにもお金がかかるし」
「まあ、別にいいけど」
そんなわけで、私はこのボロ屋敷に住むことになったのだった。
お母さんから貰った鍵を使い玄関を開け、さっと埃を払い掃除を済ませると、一人暮らしの時に使ってた自分の家具を運びこむ。
自分一人だけの城だ。そう思っていた。タヌちゃんと会うまでは。
「な、何だ貴様は! ここはわしの家だぞ!」
自分のベッドを寝室に運び込み、眠りに付こうと思っていた私に、急に茶色い毛むくじゃらの獣が叫んだのだ。
「え!? な、何っ……たぬき!?」
私が目をぱちくりさせていると、目の前の茶色いもじゃもじゃ顔の獣――タヌちゃんは叫んだ。
「だ、誰がタヌキだ! ネコパンチをお見舞いするぞ!」
そう言ってピンク色の肉球を見せながらファイティングポーズをとる猫。
……これが、私と奇妙なしゃべる猫、タヌちゃんとの出会いだ。
そう言ったのは、私の母だった。
「おばあちゃんの家?」
「ほら、お婆ちゃんが亡くなってから私も暇なときに掃除をしには行ってるけど私にもパートがあるから大変だし、かといって誰も掃除しないと荒れ放題になるじゃない?」
「はあ」
「だからあんたが住んで管理してほしいの。管理っていっても物はほとんど片付いてるし、軽く掃除する程度でいいから。ほら、取り壊すのにもお金がかかるし」
「まあ、別にいいけど」
そんなわけで、私はこのボロ屋敷に住むことになったのだった。
お母さんから貰った鍵を使い玄関を開け、さっと埃を払い掃除を済ませると、一人暮らしの時に使ってた自分の家具を運びこむ。
自分一人だけの城だ。そう思っていた。タヌちゃんと会うまでは。
「な、何だ貴様は! ここはわしの家だぞ!」
自分のベッドを寝室に運び込み、眠りに付こうと思っていた私に、急に茶色い毛むくじゃらの獣が叫んだのだ。
「え!? な、何っ……たぬき!?」
私が目をぱちくりさせていると、目の前の茶色いもじゃもじゃ顔の獣――タヌちゃんは叫んだ。
「だ、誰がタヌキだ! ネコパンチをお見舞いするぞ!」
そう言ってピンク色の肉球を見せながらファイティングポーズをとる猫。
……これが、私と奇妙なしゃべる猫、タヌちゃんとの出会いだ。



