夏とトマトとたぬき猫


 三人と一匹で縁側に並んでミニトマトのゼリーを食べる。

 青い空に、眩しい太陽。草木の緑に、赤くて甘酸っぱいミニトマトの香りが口いっぱいに広がる。

 開け放した窓にはレースのカーテンが揺れていて、どこからかセミの鳴き声が聞こえてくる。

 なんだか夏休みみたい。

 私は何となくそう思った。

 そういえば昔、学校から朝顔の種をもらって毎日育てていたっけ。

 芽が出たり、ツルが伸びたり、紫色の花が咲いたり、そのたび大喜びでお母さんに報告していたことを思い出す。

 お母さんの作るカレーの匂い。キンキンに冷えた、少し薄い麦茶の味。友達と通ったプールの塩素の匂い。ひまわりの黄色に、青い空。夕暮れの少しけだるい感じ。

 きっと人生には、夏休みが必要なんだ。

 そして、今がきっとその時なんだ。

 私はタヌちゃんを撫でながら、縁側でそっと目を閉じた

 だからきっと――もう少しだけ、私はここにいても良いんだよね?

 心の中で尋ねると、隣で「にゃあん」と小さな獣が返事をした。

 人生には、猫とトマトと夏休みが必要だ。

【完】